長期または短期で海外留学する予定、ホームステイする予定で、留学保険に入ろうか迷っている人、留学保険のどんなプランを選んだらいいのかわからない人もいると思います。
海外向けの保険には、海外旅行保険もありますよね。
ここでは、留学保険と海外旅行保険との違いを比較しながら、補償内容を詳しく説明。
「留学保険と海外旅行保険ってどこが違うの?」
「留学保険や海外旅行保険の保険費用はどちらが安いの?」
「ホームステイの場合も留学保険に入るべき?」
このような疑問がある人はぜひ参考に読んで、まずは留学保険と海外旅行保険の仕組みを知っておきましょう!
留学先の医療事情や留学の保険についてはこちらも参考にしてください。
日本と海外の医療制度を比較!医療制度は日本かアメリカかどっちがいいの?
1. 留学保険と海外旅行保険の補償内容の違いは?
留学保険と海外旅行保険が具体的にどのように違うのか知らない人は多いと思います。
「留学保険は留学向けの保険、海外旅行保険は海外旅行保険」と、このくらいの認識の人がほとんどではないでしょうか?
実は、留学保険と海外旅行保険の補償では、共通する部分とそうではない部分があるので注意が必要です。
1. 留学保険と海外旅行保険の基本的な補償内容は同じ
留学保険と海外旅行保険の基本的な補償内容は大きく変わりません。
保険会社によっては契約できる最短期間が、海外旅行保険よりも留学保険の方が長く設定されている、ということはあります。
ですが基本的な補償内容は、留学保険も海外保険も次の4つであることが多いです。
傷害死亡 | 渡航中の事故や怪我が原因で、事故日からその日を含めて180日以内に亡くなった場合に支払われる。 |
---|---|
傷害後遺症傷害 | 渡航中の事故や怪我が原因で、事故日からその日を含めて180日以内に後遺障害が生じた場合に支払われる。※1 |
治療・救援費用 | 渡航中に怪我や病気で治療を受けた場合、旅行が終わって72時間以内に病気の治療を始めた場合、その治療費が支払われる。 3日以上の入院、または搭乗している航空機が遭難し、日本から家族が現地に行く場合にかかる費用が支払われる。 捜索救助費用、現地までの救助者の往復交通費、宿泊料、現地からの移送費、遺体処理費用などが支払われる。※2 |
疾病死亡 | 渡航中に病気が原因で亡くなった場合、旅行が終わって72時間以内に治療を始めて旅行終了日を含めて30日以内に亡くなった場合に支払われる。 |
※1障害の程度による。
※2とくに危険な運動中の怪我の場合は補償の対象外。(例:スカイダイビング・ハンググライダーなど)
留学保険と呼ばれているものは、一般的にこれら4つの補償内容をもとに、留学生活により密着した補償内容が付帯補償として加わることでさまざまなプランが提供されています。
海外旅行保険も同様に、この基本の4つの補償内容をもとに、海外旅行に関わる補償内容が加わりプランがいろいろと変わる訳です。
では、上記の基本的な補償をもとに、海外旅行保険、留学保険ではどんな補償が付帯できるのか見てみましょう。
2. 留学保険、海外旅行保険の付帯補償が少し違う
留学保険の付帯補償と海外保険の付帯補償を比較してみました。
補償内容 | 留学保険 | 海外旅行保険 | |
---|---|---|---|
携行品損害 | 渡航中に持っているスーツケース・カメラ・時計などが盗まれたり、誤って落として破損した場合、パスポートの盗難で再発行する場合、乗車券の盗難の場合に支払われる。 ※滞在先の宿泊施設(ホテル・寮・ホームステイ先)が補償対象。 | ||
生活用動産 (長期用) (留学生活用動産) | 渡航中に持っているスーツケース・カメラ・時計などが盗まれたり、誤って落として破損した場合、パスポートの盗難で再発行する場合、乗車券の盗難の場合、滞在先で保管中の家財が盗難など事故によって損害を受けた場合に支払われる。 ※滞在先の宿泊施設(ホテル・寮・ホームステイ先)、居住施設(アパートなどの借家)が補償対象。 | ※1 | |
個人賠償責任 | 渡航中に他人に怪我をさせたり、誤ってお店の物を壊してしまった場合、宿泊施設(ホテル・寮・ホームステイ先)の部屋を水浸しなどにしてしまい、法律上にの賠償責任をおった場合に支払われる。 | ||
個人賠償責任 (長期) (留学生賠償責任) | 渡航中の事故で他人に怪我をさせたり、誤ってお店の物を壊してしまった場合、宿泊施設(ホテル・寮・ホームステイ先)や住居施設(アパートなどの借家)の部屋を水浸しなどにしてしまい、法律上の損害賠償責任をおったり、家主から損害賠償請求された際に支払われる。 | ※1 | |
航空機遅延費用 | 渡航中に悪天候や飛行機の異常などの理由で、搭乗予定の飛行機が6時間以上遅れたり欠航・運休になった場合に支払われる。 | ||
航空機寄託手荷物遅延 | 渡航中に搭乗した航空会社に預けた荷物が到着後6時間以内に目的地に届かなかった場合支払われる。 | ||
弁護士費用 | 渡航中の被害事故(もらい事故)で弁護士費用を負担した場合に支払われる。 | ||
テロ対策費用 | 渡航中にテロ等で帰国が遅れたときに支払われる。 | ||
旅行事故緊急費用 | 渡航中に予期せぬ偶然な事故にあった場合、交通費や宿泊費が支払われる。 | ||
緊急一時帰国費用 | 渡航中に家族の死亡や危篤などで日本に一時帰国した場合、往復の交通費、宿泊費等が支払われる。 ※渡航前から入院中だったり、治療を受けていた場合は対象外。 | ||
留学継続費用補償 | 留学生を扶養している人が留学中に事故で亡くなったり、重度後遺症障害が起こった場合、予定留学期間の金額が支払われる。 | ||
学業費用補償 | 留学生かその扶養している人が保険期間中に事故や病気で亡くなったり、障害がのこったり、危篤になり、学校を退学したことで損害を受ける学費の一部に対して支払われる。 |
※1特約などのオプションで付帯することができることがあります。
さまざまな付帯補償があることがわかりますよね。
すべての補償をカバーすると保険料がどうしても高くなってしまうので、どの補償が自分の留学に必要なのかしっかり検討することが必要です。
どの補償が付帯されているのかは、保険会社や保険プランによって変わってきます。
また、一部の補償は特約などオプションとして任意に加えることが可能なこともあるので、保険会社に確認してみてくださいね。
2. ホームステイや賃貸アパートの補償がカバーされるのは留学保険?海外旅行保険?
前項の付帯補償の内容を見てわかる通り、あなたの留学が短期留学か長期留学か、滞在先がホームステイ・寮かアパートなどの賃貸かで、必要な保険や補償プランは変わってきます。
- 滞在先が宿泊施設
- ホテル・寮・ホームステイでの損害や賠償を補償。
海外留学保険(携行品損害・個人賠償責任)でもカバーできる。
- 滞在先が居住施設
- アパートなどの賃貸・借家での損害や賠償を補償。
留学保険(生活用動産・長期個人賠償責任)※1でカバーできる。
※1留学生生活用動産、留学生賠償責任と呼ばれることもあります。
実は、留学中の滞在先が寮やホームステイの場合は、海外旅行保険でも滞在先で起こった盗難などの損害や、火災などにより賠償責任をおった際に必要な補償がカバーされています。
ですが、長期留学などでアパートの賃貸、シェアハウスを考えている人は、通常の海外旅行保険ではその補償が対象外になっていることがほとんど。
留学先でアパートを借りようと思っている人、シェアハウスをする予定の人は、賃貸での居住施設に対して補償される留学保険プランを中心に選びましょう。
以下は、海外旅行保険と留学保険で大きく違う「生活用動産(留学生活用動産)と携行品損害」「長期の個人賠償責任(留学生賠償責任)と個人賠償責任」について、比較したものです。
状況 | 留学保険 | 海外旅行保険 |
---|---|---|
生活用動産 | 携行品損害 | |
スリにあい財布やパスポートが盗まれた | ||
寮に置いていたパソコンが盗まれた | ||
賃貸契約にあるアパートのパソコンが盗まれていた | ||
レンタルwifiを壊した | ||
長期個人賠償責任 | 個人賠償責任 | |
通学中に自転車で人にぶつかり怪我をさせてしまい、治療費を賠償請求された | ||
寮・ホームステイ(宿泊施設)で火事を起こし損害賠償請求された | ||
賃貸契約にあるアパート(居住施設)で水漏れによって損害賠償請求された | ||
レンタルwifiを壊して賠償請求された |
表を見てわかるように、レンタルしたもの(レンタルwifiやレンタカー)についても、他人のものを壊したとみなされて、賠償責任の補償対象になることがわかりますね。
海外旅行や短期留学では、レンタルwifiを利用することも考える人はいると思います。
そのときに、オプションで機器に対して「補償サービス」をつける人もいるかもしれません。
しかし、もし海外旅行保険または留学保険で賠償責任の補償が付帯しているのであれば、1日200円~300円ほどかかる「補償サービス」には入る必要がないということになります。
また、海外でアパートなど借りるときに、賃貸物件に対する補償保険に加入していないと賃貸契約できないことも。
その場合は現地で賃貸契約を結ぶときに、賃貸物件に対する補償をカバーするレンターズ保険(テナント保険)に加入することも多いようです。
始めは学校の寮でいずれか賃貸で部屋を借りようと思っている人は、留学保険に入っておく方が安心かもしれませんね。
3. 短期留学の場合は留学保険ではなく海外旅行保険でも大丈夫なの?
今までの説明で、滞在先が寮やホームステイの場合だと、海外留学保険でも補償がカバーされていることがわかりましたよね。
短期留学だと、ホームステイや学校の寮での滞在がほとんどだと思います。
となると、短期留学の場合は、留学保険だけでなく海外旅行保険も一緒に検討してみるのもいいでしょう。
ただし、短期留学でもアパートを賃貸する、シェアハウスするという場合は、留学保険のプランを中心に補償内容には注意して選んでくださいね。
4. 留学保険や海外旅行保険に歯科治療の補償をつけるべき?
留学保険には、歯科治療が付帯補償として任意でプラスできるプランが多くあります。
留学保険を選ぶときには、歯科治療の補償を付帯するかどうか迷う人もいるでしょう。
歯科治療の補償をつけるとどうしても保険料が高くなりがちです。
ちなみに、歯科治療の補償をつけても、治療費の全額が補償されるわけではありません。
多くの保険会社が提供している歯科治療の補償は、「治療費の50%を支払う」としています。
つまり、治療費の半分は自己負担という訳です。
たとえばアメリカ留学中に歯科治療で7万円かかったら、半分の35,000円が保険で戻ってくるということ。
ですが留学中に歯が悪くなるかどうかわかないし、悪くなっても半分は自己負担となると、歯科治療の補償をつけるかどうか悩むところだと思います。
とくに現在歯にトラブルを抱えてないのなら、歯科治療の補償付帯しない選択もありかもしれません。
ちなみに海外旅行保険には歯科治療の付帯プランがほとんどありませんが、特約などのオプションでつけることは可能です。
しかし、留学保険と同様「治療費の50%を支払う」という補償内容が多く、保険料も同じように高くなってしまいます。
とくに留学保険に歯科治療を付帯しない場合は、留学前に日本の歯医者さんでチェックしてもらっておくと安心かもしれませんね。
5. 留学保険・海外旅行保険の保険費用の違いを見積もりで比較!安いのはどっち?
では、留学保険と海外旅行保険の保険料にどのくらいの違いがあるのでしょうか?
以下は大手保険会社「東京海上日動」の留学保険と海外旅行保険を渡航期間別に算出した見積もりです。
比較した保険プランは、海外旅行や留学では大事なポイントと言える「治療・救援費用」を安心な無制限、「賠償責任」を1億円、北米へ留学する場合で比べています。
補償内容 | 留学保険 (S2) | 海外旅行保険 (N3) |
---|---|---|
傷害死亡 | 3,000万円 | - |
障害後遺障害 | 3,000万円 | 3,000万円 |
疾病死亡 | 1,000万円 | - |
治療・救援費用 | 無制限 | 無制限 |
個人賠償責任 | - | 1億円 |
個人賠償責任(長期) (留学生賠償責任) | 1億円 | - |
携行品損害 | - | 20万円 |
生活用動産(長期) (留学生生活動産) | - | - |
航空機遅延費用 | - | 2万円 |
航空機寄託手荷物遅延 | - | 10万円 |
期間 | 保険料 | |
---|---|---|
留学保険 (S2) | 海外旅行保険 (N3) | |
短期留学 (3ヶ月) | 49,070円 | 49,720円 |
短期留学 (6ヶ月) | 103,630円 | 104,570円 |
長期留学 (1年間) | 219,420円 | 219,010円 |
これにプラスで歯科治療の補償をつけたりすると保険料が上がっていくわけだね。
そうです。
自分に本当に必要なのはどの補償か、考えてからプランを選んでくださいね。
6. 留学保険と海外旅行保険のプランの選び方でのポイント
留学保険や海外旅行保険でどの補償プランに入ったらいいか迷う人もいるでしょう。
まずは、日本で加入している保険が海外でも対象になっているかどうか確認してみましょう。
「日本の保険は海外では対象外だろう」と思っている人もいるかもしれませんが、生命保険や医療保険などはその多くが海外でも対象になっています。
ちなみに、個人賠償保険については、家族のひとりが加入していれば家族みんなが保証対象になっているので、そちらも確認してみてください。
また、クレジットカードの付帯保険として海外旅行保険がついている人もいると思います。
留学保険や海外旅行保険のプランを選ぶときは、すでに日本で入っている保険内容を確認して、足りない補償中心にプラスすると保険料を抑えることができるかもしれませんよ。
クレジットカードの付帯保険については、原則渡航してから3ヶ月が保険有効期間になっているので、3ヶ月以上の長期留学の場合は注意してくださいね。
【まとめ】留学保険と海外旅行保険の違いを知って自分の目的に合った保険を選ぼう!
ここでは、留学保険と海外旅行保険の違いを中心に説明してきました。
それぞれ共通する補償とそうでない補償があることがわかりましたよね。
留学で海外滞在中にアパートなどを賃貸する予定がある人は、海外旅行保険ではカバーできない部分があるので注意が必要です。
また、歯科治療の付帯補償については、自己負担が発生しフルカバーではないので、保険料を安くしたいと思っている人は一度見直してみるといいかもしれません。
留学保険や海外旅行保険を選ぶときは、まず自分の目的にあった保険はどれか、自分必要な補償はどれか確認して検討することをおススメします!