社会人の方や学生さんの中には、英語力不足で大学院留学を迷っている人や、留学を諦めようとしている人もいると思います。
「大学院留学に必要なTOEFLのスコアがどうしても取れない……」
このように悩んでいる方も多いでしょう。
でも実は、海外の大学院に必要なTOEFLのスコアが取れていなくても、大学院留学をすることは可能です。
今回は以下の3つのポイントを中心に、英語力が足りなくても大学院留学を実現する方法を紹介します。
- TOEFLよりも簡単なIELTSを受験してみる。
- 条件付き入学制度がある大学院も検討してみる。
- 大学院への入学保証している語学学校も検討してみる。
大学院留学をしたいけど英語でつまずいている人、大学院へ留学する前に語学学校を考えている人などは、ぜひ参考にしてくださいね。
1. 大学院留学は基本的な英語力より大学の成績や履歴書などで入学できるか決まる
「海外の大学院に留学するなら、TOEFL・IELTSの英語試験の点数が高ければ高い方がいい」と思っている人も多いのではないでしょうか?
でも実は、海外の大学院への入学条件で重要視されるのはTOEFL・IELTSの英語試験ではありません。
「GMAT・GRE」「大学の成績証明書(GPA)」「英文履歴書」「エッセイ」「推薦状」の5つの要素で総合的に判断されます。
TOEFL・IELTSのスコアは、大学院の授業についていけるだけの英語力があるかどうかを確かめるために見られますが、あくまで足切りする場合の判断材料の一つです。
つまり、入学条件に必要な最低点のスコアさえ満たしておけば問題ありません。
なので、大学院留学の準備するときは、TOEFL・IELTSのスコアばかりに囚われず、エッセイや推薦状などもしっかり用意してくださいね。
これから海外大学院への入学条件でポイントとなる「GMAT・GRE」「大学の成績証明書(GPA)」「英文履歴書」「エッセイ」「推薦状」について見ていきたいと思います。
1. 大学院留学で評価される英語試験はTOEFLではなく「GMAT・GRE」
海外の大学院へ留学するためには、GMATまたはGREのスコアが必要だと聞いたことがある人もいるかもしれませんね。
一方ではじめて聞くという人もいるでしょう。
まずは、GMAT・GREがどのような試験なのか詳しくみましょう。
1. GMAT・GREの試験内容と大学院留学への活用法
GMAT・GREの試験内容を以下にまとめました。
- GAMT
- 「Graduate Management Admisssion Test」の略。
海外のMBA取得を目指しビジネススクールへの入学を希望する場合に必要になる。 - リスニングやスピーキングの試験はなく、主に論理的思考をみる問題になっている。
- 試験内容は、Analytical Writing Assessment=AWA(文章構成力:30分)・Integrated Resoning(総合推理:30分)Quantative(数学知識:62分)Verbal(英語に関する知識:62分)の4つのセクションに分かれている。
- GRE
- 「Graduate Record Examination」の略。
ビジネススクール以外の海外の大学院へ入学を希望する場合の学力判断テストとして用いられている。 - リスニングやスピーキングの試験はなく、語彙力・文法力・推察力・分析力の幅広い思考をバランスよくみる問題になっている。
- 試験内容は、・Quantitative(数学知識:60分)・Analytical Writing Assessment=AWA(文章構成力:60分)・Verbal(英語に関する知識:70分)の3つのセクションに分かれている。
ちなみに、TOEFL・IELTSの試験はあくまで足切りの判断材料と使われるので、必要最低スコアさえ取れていれば問題ありません。
一方でGMAT・GREの場合は、高得点が取れると世界大学ランキングでも上位の大学院への留学も可能になるので、大学院留学の大学選びの基準としても活用できます。
でも、ネイティブスピーカーも受ける試験なら、内容は難しそうだよね…。
しかも、数学の試験もある(汗)
たしかにGMAT・GREの試験は、TOEIC・IELTSより難易度は高く簡単ではないので、試験対策の勉強はしなければいけません。
でも実は、GMAT・GREのスコアを必ずしも必須としていない海外の大学院もあるのです。
2. イギリスやオーストラリアなどの大学院ではGMAT・GREを必須にしていないことも多い
下記の表は、アメリカとイギリスのビジネススクールに留学する場合に必要とされているGMATのスコアです。
MBAランキング | アメリカ | イギリス |
---|---|---|
最上位校 | 700点以上 | 650点以上 |
上位校 | 650点以上 | 600点以上 |
中上位校 | 550点以上 | なし |
次は、アメリカ・カナダ・イギリス・オーストラリアのビジネススクール以外の大学院へ留学する場合に、GREを必須としているかどうかを国別に見てみましょう。
GREの国別による必須度 | |
---|---|
アメリカ | 必須としている大学院が多い。 |
カナダ | 必須といている大学院が多い。 |
イギリス | 必須としている大学院はほとんどない。 |
オーストラリア | 必須としている大学院はほとんどない。 |
この表から、アメリカ・カナダの北米圏の大学院はGREのスコアを入学条件に活用していることが多いということ、一方でイギリスやオーストラリアなどのヨーロッパ・オセアニア圏の大学院は、GREのスコアを入学条件に必須としていないことがわかると思います。
なので、留学先を選ぶときに留学を検討している大学院やコースにGMAT・GREを必須としているかどうか調べてみてください。
もし入学条件に必須としていないのに、合格基準より低いスコアのGMAT・GREを大学院に提出することは、逆にマイナスな印象になることも。
また、もしGMAT・GREのスコアが合格基準より低くても、評価のよい大学の成績(GPA)や経験豊富な職歴があれば、それでカバーできることもあります。
2. 大学院留学に必要な「大学の成績証明書」と「GPA」
海外の大学院の入学条件の中で、「大学の成績証明書」は重要視されるものの一つです。
これまでの大学の成績証明書から、あなたが大学院に入学できる十分な学力があるか判断されます。
ここでは、大学の成績証明書とそれに関係するGPA(全科目の評価の平均値)について説明しています。
GPAの計算方法や、GPAが留学希望先の合格基準を満たしていないときの対処法についても紹介しているので、参考にしてくださいね。
1. 大学院の入学基準となるGPAとその計算方式
日本の大学の成績証明書は、科目ごとにA・B・C・Dまたは優・良・可・不可などで評価されることが多いでしょう。
しかし、海外の大学では各科目の評価だけでなく、全科目の評価の平均値「GPA=Grade Point Average」が算出され、このGPAが海外の大学院留学の際に重要になります。
GPAの計算方式は次の通りです。
各科目の(単位数×ポイント)の合計÷総単位数(履修登録単位の総数)=GPA
A~Eの評価が何ポイントに換算されるか、ハーバード大学院を例に見てみましょう。
A | 4.00 |
---|---|
A- | 3.67 |
B+ | 3.33 |
B | 3.00 |
B- | 2.00 |
C+ | 2.33 |
C | 2.00 |
C- | 1.67 |
D+ | 1.33 |
D | 1.00 |
D- | 0.67 |
E | 0 |
{(4.00×3)+(3.67×2)+(3.00×5)+(2.33×3)}÷13=約3.17
在籍していた大学から英文の成績証明書を取り寄せてみて、どのように評価されているか、そしてどのようにGPAが記載されているか確認してみましょう。
2. GPAの計算方式は大学によって違う!GPAが3.0に満たないときの対処法
大学院留学を検討している中で、「GPAが3.0以上ないと海外への大学院に留学できない」と聞いたことがあるかもしれませんね。
そして、GPAが3.0以上必要と聞いた時点で「大学の成績があまりよくなかったし、大学院留学は無理だ…」と思った人もいるでしょう。
ここで注意しておきたいことは、GPAの計算方式は留学先の国や地域、そして大学によって違っていて万国共通ではないということです。
たとえば、アメリカやカナダの大学では4段階評価が一般的ですが、国によっては3段階や10段階で評価していることもあります。
また、日本の大学でも成績の評価の仕方にも違いがあることも。
なのでまずは、在籍した大学に英文の成績証明書を発行してもらって、GPAをチェックしてみましょう。
そして、GPAが3.0以下の場合や成績証明書にGPA記載されていない場合は、次のようにしてみてくださいね。
- 記載されたGPAが3.0以下の場合は、在籍していた大学と留学先の大学院にGPAの計算方式を確認する。
もし留学先の大学院と計算方式が異なっている場合は、在籍していた大学のGPA計算方式を添付して出願する。 - 成績証明書にGPAが記載していない場合は、留学先の大学院の計算方式を確認する。
もし留学先の大学院のGPAの計算方式ではポイントが換算できない場合は、出願予定の大学院に成績証明書を送って計算してもらう。
3. GPAが3.0以下でも大学院に入学できる可能性がある
前項のように正確なGPAを算出して3.0以下だったとしても、がっかりする必要はありません。
たしかにGPA3.0以上はアピールできるポイントになりますが、GPA3.0以下の人でも大学院留学はできないというわけではないからです。
まずGPAが3.0以下の人は、GPAが記載されていない英文証明書が発行できないか、在籍していた大学に問い合わせてみてください。
これはあえてマイナス要素となる点を、アピールしないようにするためです。
そして、留学を検討している大学院の合格者の平均GPAがどのくらいか確認してみてください。
一般的に合格者平均のGPAからマイナス5ポイント低くなると、海外の大学院の合格は難しくなるようです。
逆にいうと、GPAが3.0以上なくても合格できる場合があるということになります。
たとえばあなたのGPAが2.8だった場合、合格者平均GPAが3.5である大学院Aへの入学はかなり厳しいかもしれません。
しかし合格者平均GPAが3.2の大学院Bだと、GREやGMATのスコアやエッセイ・職歴などでカバーすることによって入学の可能性はでてくるでしょう。
また、同じ大学院でも専攻やコースによってGPAをどれだけ重視しているかも変わります。
たとえば、経済学や生物学・物理学・化学などの自然科学系は、GPAを重視する傾向に。
なので大学院ごとではなく、専攻やコースの合格者平均のGPAを確認してみるといいかもしれません。
とくにMBAのコースなどでは、GPAよりも職歴を重視している学校もあるので、GAPが3.0以下であっても諦めないでくださいね。
参照)The Economist How much does GPA matter in graduate school admissions?
3. 大学院留学で重要視される「英文履歴書」「エッセイ」「推薦状」
海外の大学院の入学条件において、英語試験のスコアよりも重要なのが「英文履歴書」「エッセイ」「推薦状」の提出です。
この3つの出願書類の内容から海外の大学院は、次のようなことを判断しようとしています。
英文履歴書 | これまでの実績や将来性を判断する |
---|---|
エッセイ | 志望動機や将来の展望がはっきりしているかなどを判断する |
推薦状 | 第三者がこれまでの実績や能力、将来性をどう判断しているか見る |
では希望する大学院への留学を実現するために、「英文履歴書」「エッセイ」「推薦状」をそれぞれどんな内容で書けばいいのか、詳しく紹介します。
1. 英文履歴書に記入する内容とポイント
日本では履歴書のベーシックなフォーマットは決まっていますよね。
しかし、海外向けの英文の履歴書には特定のフォーマットはなく書き方も内容も自由です。
ただし、通常A4用紙に1枚に収め、箇条書きでわかりやすく完結に記入するようにしてください。
以下は、英文履歴書に記入する主な内容です。
連絡先(Contact Information) | 住所・電話番号・メールアドレス等を記入する。 |
---|---|
学歴(Education) | 高校卒業からの学歴と大学のGPAも記入する。 |
職歴(Employment) | アルバイトを含むこれまでの職歴を記入。 会社名・会社概要・部署名・役職・仕事内容なども入れておく。 |
資格(Skills) | 英検・簿記・スポーツなどの資格があれば記入する。 |
これに加えて、もし次のような経験があれば一緒に記入しておきましょう。
- ボランティア経験(Volunteer Experience)
- インターンシップ(Internship)
- 海外経験(Oversease Experience)
- 部活動(Club Activity)
英語試験のスコアよりも重要だと言いましたが、履歴書は英文で書く必要があるので、これらの内容は難なく書ける程度の英語力は必要ですね。
英文履歴書の内容は、留学を希望する大学院の専攻やコースにいかに合わせて作成することができるかがポイントです!
2. 英文エッセイに記入する内容とポイント
次は、英文履歴書と同じように大学院留学の際に重要になる英文エッセイについてです。
この英文エッセイのことを、アメリカ・カナダでは「Statement of Purpose」、イギリスでは「Personal Statement」と一般的に呼ばれています。
英文エッセイで書く主な内容は、次の3つです。
- 志望動機
- その大学院に出願するまでのバックグラウンド
- もしその大学院に留学した場合、卒業後のキャリアにどうつながるか
そして以下は、英文エッセイの一般的な構成になります。
- 1. 前置き・イントロダクション
- 志望動機・留学での目標・卒業後のキャリアプランを簡潔に書く。
理系の場合はこれまでの研究実績と入学したら研究したいことも書く。 - 2. 本文・ボディ
- イントロダクションで述べたことを具体的に書く。
「留学での目標を達成するためになぜその大学院の専攻・コースを選んだのか」
「そのきっかけやそのためにどんな努力をしてきたか」
「これまでの実績から入学後のクラスや研究でこのよう役に立てるか」
「大学院で学んだことを卒業後のキャリアにどう活かすのか」 - 3. 結び・コンクルージョン
- イントロダクションで述べた内容をもう一度書いて終わる。
英語力、特にライティングに自信がない人はこのエッセイを書くのが大変かもしれません。
TOEICのように、マークシートで回答するような英語試験ばかりを受験していては、大学院留学の準備段階でつまづいてしまうので、ライティングスキルも身につくような英語学習をする必要があるでしょう。
英文エッセイのポイントは、留学・卒業後の目標を明確に掲げているか、これまでの実績からどのように留学中にクラスなどで役にたてるかになります。
3. 推薦状に記入する内容とポイント
最後に、大学院留学で必要な推薦状についてです。
「推薦状だから自分が書くのではなくて、推薦してくれる人が書くのでは…?」
このような疑問を持った人もいるでしょう。
実は、大学院留学に必要な推薦状は、一般的にまず自分で作成してから推薦者からサインをもらう形がほとんどです。
また、だれを推薦者に選べばいいかも迷いますよね。
まずは自分の人となりをよく知る人を選ぶ必要があります。
そして留学を希望している大学院の入学条件によって、どの推薦者を選ぶかは変わるので注意してください。
推薦者についての条件の例 | |
---|---|
推薦者はアカデミックの分野から◯名 | 大学の教授や恩師を選ぶ |
推薦者はプロフェッショナルの分野から◯名 | 勤めている会社の上司を選ぶ |
このように出願予定の大学院の推薦者についての条件によって、だれが推薦者として適任か考えて選ぶようにしましょう。
推薦状の内容は、英文履歴書やエッセイでアピールして書いた内容を基本にして書きます。
推薦状の役割は、第三者である推薦者に自分が英文履歴書やエッセイで書いた内容をサインしてもらうことで証明することです。
なので、英文履歴書・エッセイ・推薦状の3つの内容は、ある意味一貫していなければいけないということになります。
この他に留学先の専攻やコースによって、作品集(ポートフォリオ)や研究計画書、電話やオンライン通信による面接(インタビュー)がある場合もあります。
2. 大学院留学のための英語力が足りない人はTOEFLよりも簡単なIELTSを受験しよう
大学院に入学するには、入学条件をクリアする必要がありますが、英語のスコアよりも大学の成績やエッセイなどが重要であると紹介してきました。
ですが、その入学条件に英語試験のスコアが含まれている以上、まったく無視することはできません。
海外の大学・大学院に留学するのに必要な英語試験として「TOEFL」を知っている人はたくさんいるでしょう。
実は、TOEFL以外にも「IELTS」という英語試験も海外の大学・大学院へ留学する際に利用できます。
このIELTSは、主にイギリスやオーストラリアなどのヨーロッパ・オセアニア圏の大学・大学院で採用されている英語試験です。
しかし、最近ではアメリカやカナダの大学・大学院でも、TOEFLの代わりにIELTSでの出願校もずいぶん増えてきてきました。
今は世界大学ランキングのトップに位置するほぼすべてのスクールでも TOEFLだけでなくIELTS も採用しています。
そして、実はこの2つの英語試験には少し難易度に差があり、TOEFLよりもIELTSの方が試験内容が簡単だと言われているのです。
ここでは、大学院留学でに必要になるTOEFLとIELTSを比較してどの点でIELTSが簡単なのか、またTOEFLかIELTSを選ぶ注意点など説明します。
「TOEFLのスコアが伸び悩んでいる……」と悩んでいるなら、ぜひ参考にしてくださいね。
1.「TOEFL」の特徴と試験内容
TOEFLは、アメリカの非営利の教育開発機関である「Education Testing Service(ETS)」によって開発・運営されています。
TOEFLの受験方法は、以前はペーパーによるテスト方式(TOEFL ITP)でしたが、現在はコンピューターを利用したインターネットオンライン方式の「TOEFL iBT」が主流。
ペーパー版のテストであるTOEFL ITPは、TOEFL iBTが導入されていない国や地域のみで行われており、日本での受験はパソコンを利用したTOEFL iBTの試験です。
以下は、TOEFLの試験内容ですが、2019年8月1日から試験時間が短縮が決まっています。
それに伴ない、試験の問題数も少なくなる予定です。
ちなみに、TOEFL iBTのスピーキングの試験方法は、まずパソコンに設問となる課題の音声が15秒間流れます。
そして、その問題に対して自分の意見を各デスクに設置されたマイクに向かって、45秒間回答するという方法です。
以下は、TOEFL iBTのスピーキングの試験問題の例になります。
※TOEFLペーパー版のITPでは、スピーキングのテストはありません。
TOEFL iBTの受験料は、1回につき235米ドルで日本円にして約25,380円です。
※1米ドル=108円で計算した場合
2.「IELTS」の特徴と試験内容
IELTSは、ケンブリッジ大学のESOL Examinationsとブリティッシュ・カウンシル、IDP Education Australia が共同で開発・運営されています。
世界140か国で10,000以上の機関で認定されている英語試験で、海外への留学だけでなく移住や働くための判断基準として採用。
試験はペーパー方式ですが、2019年3月からコンピューターで受験するCDI IELTS(Computer-delivered IELTS)の実施も始まりました。
現在はペーパー方式かコンピュータ方式かを、自分で選んで受験するこができます。
以下は、IELTSの試験内容です。
※ライティング・リーディング・リスニングは休憩なしで行われます。
※スピーキングの試験は、試験会場によっては別日に行われることもあります。
TOEFLの試験時間の変更後(2019年8月予定)は、両方ともほぼ同じ試験時間となります。
ちなみにIELTSのスピーキングの試験は、TOEFLの方法とは違い、試験官と1対1でインタビューされその会話が録音される方法です。
IELTSの試験会場は全国にわたり、主に札幌・仙台・埼玉・東京・横浜・松本・長野・静岡・ 金沢・名古屋・京都・大阪・神戸・岡山・広島・福岡で受験することができます。
試験会場によっては、ひと月最大4回試験を実施しているところも。
受験料は、1回25,380円(税込)でTOEFLとほぼ同じ料金です。
3. IELTSはTOEFLよりもスピーキングとリスニングが比較的簡単
前項では、TOEFLとIELTSの試験について詳しく見てみました。
では、本当にIELTSの方がTOEFLよりも簡単なのでしょうか?
以下は、TOEFL iBTとIELTSのリスニングとスピーキングの試験内容を比較したものです。
TOEFL iBT | IELTS | |
---|---|---|
リスニング | 60~80分 (2019年8月より54~72分) 講義・授業中の討論や会話を聴いたあとに質問に答える。 | 40分 日常生活における複数の人物による会話や内容、教育の現場における複数の人物間での会話、学術的・教育的なテーマに関する内容を聴いて質問に答える。 |
スピーキング | 20分 (2019年8月より17分) パソコンから問題が流れてくるので、それに対する答えを設置されたマイクに述べ録音する形。 身近なトピックについて、リーディングやリスニングの課題を振り返りそれをもとに意見を述べる。 | 約11~14分 試験官と1対1での形。 自己紹介と日常生活に関する問題から始まり、スピーチではあるトピックに対する意見を自分の体験をもとに述べる。 ディスカッションでは、スピーチで述べたことをもとに試験官から質問が出される。 |
リスニングの試験ついては、TOEFLは授業や講義などの学術的な内容が中心ですが、IELTSは比較的に簡単な日常的な会話・内容も半分ほど含まれます。
スピーキングの試験も同様に、IELTSは自己紹介や日常的な内容がはじめに出題されるのに対して、TOEFLはすべてあるトピックに対して自分の意見を述べる設問形式です。
またTOEFLのスピーキング試験は、その前に解いたリーディングやリスニングの内容もある程度憶えて意見を述べなければいけません。
その点でも難易度はIELTSより難しくなると考えられます。
つまり、IELTSは日本人がよく英語で苦手としているリスニングとスピーキングの試験がTOEFLよりも簡単なわけです。
また、リスニングとスピーキングの試験時間についても、TOEFLと比較するとIELTSの方が短くなっています。
この点でもリスニング・スピーキングが苦手な日本人にとっては、負担が少なくなるでしょう。
4. 大学院によってTOEFLとIELTSのスコア換算に違いがあるので注意
TOEFLよりもIELTSのリスニングとスピーキングの問題の方が簡単だということがわかりました。
でもIELTSのスコアを取得することは、すべての大学院への留学に有利になるというわけではありません。
その理由は次の2つです。
- TOEFLとIELTSのスコア間において国際基準とする正しいスコアの相関表がない。
- 学校によって入学条件とするTOEFLとIELTSのスコア間にバラつきがある。
TOEFLはアメリカやカナダなどの北米の組織が管理しており、一方でITELSはイギリスとオーストラリアの組織が管理しています。
この2つの組織間には横のつながりがないので、国際基準となるスコアの換算表がないのが現状です。
ちなみに、以下は文部科学省が発表しているIELTS・TOEFL・TOEIC・英検のレベルによる対照表です。
IELTS | TOEFL iBT | TOEIC | 英検 |
---|---|---|---|
7.0-8.0 | 95-120 | 945~ | 1級 |
5.5-6.5 | 72-94 | 785~ | 準1級 |
4.5-5.0 | 42‐71 | 550~ | 2級 |
以下は、TOEFLを運用・管理している教育開発機関であるETS(Education Testing Service)が発表しているIELTSとTOEFL iBTのスコアの換算表です。
IELTSバンドスコア | TOEFL iBTスコア |
---|---|
9 | 118-120 |
8.5 | 115-117 |
8 | 110-114 |
7.5 | 102-109 |
7 | 94-101 |
6.5 | 79-93 |
6 | 60-78 |
5.5 | 46-59 |
5 | 35-45 |
大学院 | IELTS | TOEFL iBT |
---|---|---|
UCLA | 7.0 | 87 |
コロンビア大学 | 7.0 | 100 |
オックスフォード大学 | 7.5 | 100 |
ETSの換算スコア | 7.0 | 94-101 |
7.5 | 102-109 |
※UCLA=University of California, Los Angels
また、TOEFL iBTについても100というスコアに対して、コロンビア大学とオックスフォード大学ではIELTSのスコアが7.0と7.5と差があります。
つまり、大学院によって入学条件に設定しているTOEFLとIELTSのスコア間に微妙な難易度の差があるわけです。
まずは、留学先に考えている大学院に必要なTOEFLとIELTSのスコアを確認してみてください。
そして、現在の自分のスコアから見てどちらのスコアが取りやすいか、どの大学院なら必要なスコアが満たしやすく、入学への近道になるか検討してみましょう。
3. 英語力が足りない人は「条件付き入学制度」を利用した大学院留学も検討しよう
留学先の大学院の入学条件となるTOEFLとIELTSのスコアを調べて、自分にとって有利になる方を選んで勉強をしたとしても、なかなかそのスコアには届かない人もいるでしょう。
そんな英語力が足りない人は「条件付き入学制度」(Conditional Admission/Conditional Enrollment)がある大学院を検討してみてください。
条件付き入学制度とは、もしTOEFLやIELTSが必要なスコアを満たしてなくても、他の入学条件にあるGPAや英文履歴書などから判断し合格がもらえるというシステムです。
英語力が少し足りなくても合格できるなんて、すごく助かる制度だね!
そうですね。
これからこの「条件付き入学制度」について、もう少し詳しく説明しようと思います。
1. アメリカ・イギリス・カナダ等の大学院留学での条件付き入学制度の状況
まず英語圏の国で、大学院の条件付き入学制度がどのように実施されているか見てみましょう。
アメリカ | 一部の大学院の特定の専門やコースで条件付き入学制度を行っている |
---|---|
カナダ | 一部の大学院で条件付き入学制度をおこなっている |
イギリス | ほぼすべての大学院で条件付き入学制度をおこなっている |
オーストラリア | グループ8を含むすべての大学院で条件付き入学制度をおこなっている |
ニュージーランド | ほぼすべての大学院で条件付き入学制度をおこなっている |
この表を見てわかるように、イギリス・オーストラリア・ニュージーランドは条件付き入学制度を積極的に取り入れています。
ちなみに、オーストラリアのグループ8とは、オーストラリアの名門大学8校のことを言っています。
オーストラリアのグループ8の大学は次の通り。
- アデレード大学
- オーストラリア国立大学
- モナシュ大学
- ニュースサウスウェールズ大学
- シドニー大学
- 西オーストラリア大学
- クイーンズランド大学
名門の大学院でも入学できる可能性があるんだね!
そうなんです。
でも、条件付き入学制度を利用する場合は、メリットだけでなくリスクもあるので気を付けなければいけません。
2. 条件付き入学で大学院留学をするリスク
大学院留学で条件付き入学制度を使って合格した場合に考えられるメリットとリスクをまとめました。
- 条件付き入学のメリット
- TOEFLまたはIELTSが必要スコアに満たしてなくても出願できる。
- 大学院に入る2か月前くらいまで日本や現地で、TOEFLまたはIELTSの勉強をすることができる。
- 大学院に入るまでにTOEFLまたはIELTSの必要スコアが取れれば、ほぼ確実に入学できる。
- 条件付き入学のリスク
- スコアが足りてなくても出願はできるが、大学院に実際に入学するまでにTOEFLまたはIELTSの必要スコアに届かなったら入学することができない場合がある。
- TOEFLまたはIELTSが必要スコアに届いていなければ、大学院に入る前に語学学校へ通わなければならない。
- 語学学校に通っても必要スコアに届かなかったら、結局大学院に入学できない場合もある。
これら条件付き入学のリスクを避けたいなら、次の2つに注意して大学院や語学学校を選びましょう。
- 語学学校の進学準備コースを修了すれば入学できる大学院を選ぶ
- 進学準備コースを修了すると大学院への入学保証がある語学学校へ通う
この2つの方法だと万が一にTOEFLやIELTSが必要スコアに満たしてなくても、語学学校の進学準備のコースを終えれば自動的に大学院へ進学することが可能です。
ちなみに語学学校は、民間(私立)の語学学校と、大学付属の語学学校の2つのタイプがあります。
もし大学・大学院へ留学する場合は、まず付属の語学学校か提携している民間の語学学校があるかどうか調べてみてください。
そして、その語学学校の進学準備コースを修了すれば自動的に大学院へ進学できる保証があるのかどうか、それとも大学院進学には進学準備コースを終えたとしても、TOEFLやIELTSの必要スコアを必要するのかチェックしましょう。
大学院への入学保証がある語学学校へ通うからといって、留学前に英語を勉強しなくてもいいというわけではありません。
どういうこと?
語学学校のクラスわけは、留学時の英語力によって変わります。
もしはじめに上のレベルのクラスに入れると、早く進学準備コースを終えることができ、大学院へ進学できるわけです。
そして、その分の時間と費用を節約することにつながります。
3. 条件付き入学に囚われすぎて留学先の大学院選びを失敗しないように!
条件付き入学は、TOEFLまたはIELTSの英語試験で入学条件に必要なスコアに届かない人にとって、便利で助かる制度であることはわかったと思います。
そして条件付き入学を利用する場合、付属または提携している語学学校のコースを修了すると、その大学院へ自動的に進学できる入学保証があるか確認した方がよいと述べました。
しかし、入学保証がある大学院を選ぶことにこだわりすぎて、本来留学を希望していた大学院とかけ離れた学校を選ばないように注意してください。
逆に大学院への入学保証を掲げている語学学校を選ぶ際には、どんな大学と提携しているか必ず確認しておきましょう。
なかには世界大学ランキングで下位の大学とばかり提携している語学学校もあるので、慎重に選ぶことをおススメします。
国によって大学院の修士課程は、1年間または2年間と違います。
また、大学院で修士課程とは別に、実践的な資格として認められているPostgraduate Diploma/Postguraduate Certificateのコースがある国も。
自分の留学の目的に合った国や大学院はどこか、しっかり検討してみてくださいね。
4. 入学保証がある語学学校「EF」なら英語力が不安でも大学院留学が実現できる
最後に、大学院留学の進学を保証している語学学校の一つである「EF」(イー・エフ・エデュケーション・ファースト・ジャパン株式会社)を紹介したいと思います。
EFは1965年にスウェーデンで設立。
現在は11言語、世界21か国わたって52校あるグローバル規模の語学学校で、2020年東京オリンピックのオフィシャルパートナーでもあります。
EFは、日本にも東京本社をはじめ、札幌・横浜・名古屋・京都にも支社があるので、留学エージェントを介する必要がありません。
つまり、留学エージェントを通さずに、留学前にも直接カウンセリングを受けたり申込をしたりすることができるので安心です。
そして、EFが提携している大学は、イギリスをはじめアメリカやオーストラリアなど世界230校にわたり、いずれかの大学または専攻・コースへの入学を保証しています。
EFの提携校へ進学する場合は、EFの進学プログラムを修了すれば、自動的に進学できるということです。
※進学するにはIELTS, TOEFL, GRE, GMATなど規定のスコアを満たしていただく必要があります。
また、EFは提携している大学への進学を保証しているだけでなく、留学先の国内でほぼすべての修士課程・MBA課程・博士課程への出願サポートも提供。
実際に多くの卒業生が、次のような世界大学ランキングで上位の大学院へ進学している実績も残しています。
- オックスフォード大学
- ケンブリッジ大学
- ハーバード大学
- マサチューセッツ工科大学
- ペンシルバニア大学ワートン校
「EF」の大学院留学のための進学プログラム
EFが設けている大学院留学の進学向けのプログラムは、次の2つです。
- MBA(経営学修士)/修士課程進学準備 プログラム
- 博士課程進学準備プログラム
この2つのプログラムを受講するには、IELTS 5.5またはTOEFL iBT 71のスコアが必要です。
さらにMBAのプログラムは、最低2年以上の職務経験もないといけません。
※ただし、 提携校の中には、2年未満の実務経験でも受入れが可能な大学もあります。
EFの大学院進学コースでは、海外の大学院で必要な英語力とスキルを集中的に勉強していきます。
また学費の負担を減らせるように、英語力にあわせて6ヵ月・9ヵ月・11ヵ月と期間を柔軟的に選ぶことも可能です。
そして、好きな分野の専門科目のクラスも受講することもできるので、海外の大学院への十分な準備ができる語学学校だと言えるでしょう。
【まとめ】大学院留学をしたいけど英語力不足が心配なら語学学校を上手く利用しよう
ここまで、英語力が足りなくても大学院留学を実現する方法について紹介しました。
英語力がどのくらい足りないのかは、人によって違います。
英語の実力はあるけど、テストがどうしても苦手という人は多少英語試験のスコアが足りなくても、大学の成績(GPA)や履歴書、エッセイ、推薦状があれば大学院に入学できる可能性があります。
TOEFLで望むような結果が出なかった場合は、IELTSを受験して入学に必要なスコアを目指すのもオススメです。
英語力が足りない、または英語力に不安があるという人は、「条件付き入学制度」を利用して、大学院に入るまでに語学学校へ通うなど英語を勉強する期間を自分に与えてあげましょう。
大学院付属の語学学校や、EFのように入学保証がある大学院と提携している語学学校に通うと、英語の学習が終わったあとスムーズに大学院留学ができます。
ただ英語力が多少足りなくても大学院留学はできますが、留学先で効率よく多くのことを学ぶためには、英語の準備をきちんとしておくことが大切です。
英語力不足が心配なら、語学学校に通うなどして英語の不安をなくしてから、大学院留学をするのが望ましいでしょう。