ブログの記事やレポート作成などの文章を一通り書き終えた後、あなたは何をしますか?
文字の間違いがないか確認したり、不要な文章を消したり、または不足した部分をつけ足したりと、いわゆる「編集」作業をしますよね。
現役ライターの古賀史健氏は、自身の著書「20歳の自分に受けさせたい文章講義」で、編集には2つの段階があると述べています。
それが、「書き終えたあとの編集」と「書きはじめる前の編集」です。
「書き終えたあとの編集」は想像できるけど、「書きはじめる前の編集」とは、いったいどういう意味なのでしょうか?
まずは、「書き終えたあとの編集」から詳しく見てみましょう!
「書き終えた後の編集」は過去の自分との対話
本書の中で、「書き終えた後の編集」は推敲のことを表しています。
そして、推敲について次のように記しています。
文章術の本では、「推敲するときは、客観的に精読していきなさい」などとアドバイスされることがあるが、そんな小難しいスタンスをとる必要はない。
もっとシンプルに「いまの自分」と「過去の自分」が対話していると考えるのが、いちばん手っ取り早いし、的確な推敲ができるはずだ。
つまり、推敲とは、文章を書いたときの自分に対して、「どうしてこんなことを書いたのか?」や「この表現はおもしろいな」といったツッコミを入れながら読み進めて、書き直していく行為だということなのですね。
推敲のポイント!!「もったいない」は最大の禁句
「書き終えたあとの編集」は推敲を表し、過去の自分との対話であることはわかりました。
でも知りたいことは、やはり「推敲」の具体的なやり方ですよね。
ということで、推敲のポイントをまとめてみました。
推敲にあたって著者が重要視しているのは以下の6つ。
最大の禁句は「もったいない」。無駄な部分は容赦なく削る
大切なのは、自分の頑張りを見せつけるのではなく読者にわかりやすく伝えることだと覚えておきましょう。
長い文章は短い文に切り分ける
短い文に切り分けることにより、冗長さを避けてリズムをよくしたり、意味を通じやすくしたりする効果があります。
自分の文章を図に描き起こすことができるかチェックし、論理性があるか考える
自分の文章が論理的かどうかは、書いたものが図に書き起こせるかどうかで確かめることができます。
論理展開がうまくできていれば、シンプルな図に書き起こすことができるが、論理的でなければ、矢印でつなげなかったり、順番がおかしかったりしてうまく図にすることができません。
文章を読んで映像が思い浮かぶかチェックし、細部がどれだけ描写できているか考える
例えば、温泉に行ったことをブログに書くとします。
こんな文章では、読者はどんなごはんを食べたのか、温泉の雰囲気はどうだったのかが全く伝わりません。
文章を書くときは、読者に伝わるよう、細かく描写することが大切です。
このように、読者も行った気持ちになれるように、映像が思い浮かぶ文章を書くようにしましょう。
少なくとも2回は読み返す
文章に対する印象や価値観は、その日の気分によって変わってくるもの。2回目に読む時の方が、正しい自分とは限りません。
しかし、書いた後すぐに読み返すのと、1度間を置いて読み返すのとでは、視点が変わり1回目の時には気がつかなかった間違いを見つけることもあるといいます。
ですから、少なくとも2回読むようにしましょう。
家族や友人に頼んで一度読んでもらい、客観的な意見を聞く
自分が書いた文章を客観的に見るのが難しいと思う人は、一度自分以外の誰かに文章を読んでもらい、感想を聞いてみましょう。
推敲の際に忘れてはいけないのは、自分の文章が読者の目にどう映るかということ。
読者にとって、面白い文章なのか、読みやすい文章なのかを考えながら推敲していくことが大切なのですね。
「何を書くか」ではなく「何を書かないか」を考える
次に、「書きはじめる前の編集」を見てみましょう。
「書きはじめる前の編集」って、つまりネタ探しのことじゃないの?と思いませんでした?
もちろんそうなのですが、ネタを探すという考え方が少し違います。
著者曰く、ネタを探すのではなく、書かないものを探すというのです。
書くべきものは世の中にたくさん転がっている。
書くべきものが見当たらないのは、素材が足りないのではなく、多すぎるせいだというのが著者の主張です。
そこで、書きはじめる前に、「なにを書かないか?」を考えることが大切だと言っています。
これが、「書きはじめる前の編集」です。さらに、著者は以下のように述べています。
書きはじめの編集段階における「なにを書かないか?」という問いかけは、単なる消去法ではない。
「自分にとって大切なものはなにか?」をあぶりだす、自己探求と自己分析の作業でもあるのだ。
著者の言葉を見ると、なんだかとても大切な作業な気がしませんか?
では、「書きはじめる前の編集」の具体的な方法を見てみましょう。
書きたいことを可視化する!キーワードは2段階で書きだす
「書きはじめる前の編集」とは、「何を書かないか」を考えることだとわかりました。
では具体的にどうすれば良いのでしょうか?
「書きはじめる前の編集」のポイントは3つ。
頭の中の考えを紙に書いて可視化する
頭の中でぐるぐると考えるのではなく、紙に書く、つまり可視化することが編集の第一歩です。
書きたいテーマが決まったら、まずは思いつくキーワードを紙に書いてみましょう。
テーマについて“ある特定のキーワード”と“それ以外のキーワード”をすべて出し尽くす
例えば、料理についてキーワードを出すとしましょう。
「時短レシピが注目を集めている」
「家で作るカフェ飯が人気」
「料理男子が増えている」
これらは一見バラバラに見えますが、「料理を作ること」に関したキーワードが並んでいることに気が付きましたか?
このように、キーワードを挙げていく作業は連想的になり、一つの傾向をもってしまいます。
そしてこれは、発想が偏っているということになります。
そこで、次のステップ。
今度は「料理を作ること」以外のキーワードを探します。
「今の台所が狭くて使いづらい」
「マンガ『深夜食堂』が海外でも人気を得ている」
このように、一つの傾向に偏らないキーワードを出してみましょう。こうすることにより、より深い文章が書けるようになるといいます。
「まだキーワードがないか」「このキーワードだけで本当におもしろい文章が書けるか」常に自分に問いかけながらキーワードを並べてみましょう。
「何を書かないか」を考えながらキーワードを峻別する
たくさんのキーワードの中から「何を書かないか」を考えながら、本当に必要なものだけを浮き彫りにします。
このときに、一つの傾向に偏らない広範囲の元ネタから選べるため、面白い文章を書く土台ができるのです。
キーワードはただ思いつくまま考えてはだめ。
一つの傾向に偏らないよう、2段階に分けて紙に書きだすことが大切なのですね。
読者の理解を促す「編集」と、書くべきことをあぶりだす「編集」
最後に、「文章の編集」のポイントをまとめておきましょう。
- 編集には、「書いた後の編集」と「書きはじめる前の編集」がある。
- 書いた後の編集とは「推敲」のこと。無駄な部分を容赦なく削り読みやすい文章にする。
- 書きはじめる前の編集とは、「なにを書かないか?」を考えること。これによって本当に必要なことが何かを知ることができる。
- 書きはじめる前の編集は、まずキーワードを紙に書きだすことが大切。また、キーワードが一つの傾向に偏らないよう2段階で考える。
書いた後の編集は、読者の理解を促すための編集。
書く前の編集は、書くべきことをあぶりだすための編集。
どちらも、良い文章を書くために欠かせないことですね。
書く前と、書いた後のダブル編集で読者に伝わる文章を目指しましょう!