英語を話しているときに、一つ一つは知っている英単語ばかりなのに、なかなか意味が理解できないことはありませんか? それは、簡単な英単語が、綴は同じなのに皆さんが認識している意味とは全然違う意味を持っていることがあるからです。
英会話や試験のリスニングでは、これが意外な落とし穴になることもあります。
英語は語彙数が最多の言語
2016年1月1日時点で、英単語の数は1,035,877語あり、毎98分ごとに新しい語彙が生まれています。また、ギネス・ブック(Guinness book of Records 1973)には、「イギリスで16年間教育を受けた人たちは、話し言葉として約5,000語、書き言葉として約10,000語を使っている」と記されています。
そのうち日常会話で必要とされている語彙数はたったの2,000語程度とも言われています。これは半分以上を中学で補っている数字です。
日本語と英語の違い
一方で、日本語はたとえ1000語を覚えても日常会話の理解は難しく、英語と比較しても沢山の言葉を覚えなくてはならない言語です。
そんな日本語を母国語としている私達が、英語を学習する際に直面する問題の一つとして、思い込みから抜け出せないということです。
一つの単語が沢山の意味を持ち合わせるにもかかわらず、必死に一つの意味でなんとかやり過ごそうとしたくなり、つじつまが合わないのです。
例えば「cake」と聞くと、どうしても「甘い洋菓子」というイメージ以外を想像しにくくなります。しかし、cake には rice cake(餅)や fish cake(魚のすり身の練り物)など、食材を固めて作った様々なものに用いることができる単語であり、必ずしも甘いデザートとは限らないのです。
今回は多義語を見直し、意外と知らない英単語が持つ裏の顔について確認しましょう。
別の意味を持つ英単語20通り
1. sorry【表:ごめんなさい、裏:残念】
I’m sorry to hear that.(それは残念ですね。)
こう言われるとよく「あなたのせいじゃないよ。」と言う意味で「No no no…」と返してしまう方をみかけますが、シンプルに「Thanks.(ありがとう)」と返答するのが好ましいです。
2. mean【表:意味する、裏:意地悪な】
He is very mean.(彼はとても意地悪です。)
人の性格や行動などが卑劣な場合に用います。あまり使うべき良い言葉とは言えませんが、映画やドラマのセリフに出てくることもあるので、知っておくと便利です。
3. fit【表:ぴったりな、裏:健康的な】
I want to stay fit.(私は健康でいたい。)
動詞で用いる場合、日本語同様、サイズなどがぴったりな状態を表す「フィットする」という意味で使えます。また、サイズがきつい場合は「tight」を使います。
4. cheese【表:乳製品、裏:(形容詞化して)古くさい】
That program is cheesy.(あのプログラムは古くさいなぁ。)
cheeseにyを加えて形容詞化すると「チーズ風味の」という意味になります。また、例文のような食べ物以外の話の場合は「古くさい、くだらない」など、ネガティブなイメージの形容詞として使います。
5. baby【表:赤ちゃん、裏:甘やかす】
You are babying him.(あなたは彼を甘やかしています。)
動詞で使う場合、赤ちゃんのように過保護に扱う、という意味になります。文脈から意味を予測しやすい単語です。
6. gag【表:冗談、裏:喉につまる】
I gagged on an apple.(リンゴが喉につかえた。)
他にも冗談とはまるで反対の「自由な発言の禁止」という意味もあります。
7. trip【表:旅、裏:つまずく】
I tripped over a rock.(石につまずいた。)
旅の話をする時に気をつけたいのは、「travel=動詞」「trip=名詞」ということです。tripを使って旅の話をする場合は、「go on a trip」という熟語を用いましょう。
8. fix【表:修理する、裏:(食事の)準備をする】
I’ll fix dinner tonight.(私が今夜の夕食を作ります。)
fixの後に食事を表すことばを置いて用います。fixは様々な意味を持つため、次にどんな単語が来るかによって意味が変わるので、気を付けましょう。
9. book【表:本、裏:予約する】
Could you book a flight to LA?(LA行きの航空券を予約してくれませんか?)
bookはもともと、13世紀初頭に「本に書き込む、記入する」という意味で使われ始め,19世紀には「席や場所のために記入すること、列車のチケットを発行すること」の意味で使われたそうです。
10. will【表:未来形、裏:意志】
Where there is a will, there is a way.(意志あるところに道は開ける。)
willは、生前の意思を記す「遺書」という意味もあります。また、未来形で用いる際にも、主語の意志が含まれています。
例:I will go. ➜ 私が行く、という意志。
11. for【表:~のために、裏:賛成して】
I’m for your opinion.(あなたの意見に賛成です。)
forは発音の強弱に注意してみましょう。上記のような「賛成」として用いる場合、少し長めに発音するのに対して、下記の一般的な for は軽く短めに発音します。
There’s a phone call for you.(あなた宛てに電話ですよ。)
また、反対語は「against(反対して)」です。
12. chance【表:機会、裏:可能性・偶然】
There’s a good chance it will rain tomorrow.(明日は雨が降る可能性が高い。)
I saw him on the street by chance.(偶然、道端で彼を見かけた。)
チャンスと聞くと、つい何か幸運なことがあるようなイメージに繋がりますが、例文のようにネガティブな内容にも用いることができます。他にも以下のような言い回しも併せて覚えておきましょう。
There’s a fifty-fifty chance he won’t have to work overtime.(彼が残業しなくて良い可能性は五分五分だ。)
There’s no chance I’ll win the lottery. (宝くじが当たる可能性はない。)
13. stand up【表:立つ、裏:すっぽかす】
He stood me up.(彼にすっぽかされた。)
「stand 人 up」という形で用います。standは他に、「I can’t stand it.(我慢できない)」という意味でもよく使われます。
14. breeze 【表:そよ風、裏:簡単な】
Don’t worry, it’s a breeze.(心配ないよ、楽勝だよ。)
反対語も裏単語の一つ「It was a killer.(手強かったよ)」と言います。
15. break (a) leg【表:脚を骨折する、裏:頑張る】
I heard you have a test today. Break a leg!(今日は試験があるんだってね。。頑張って!)
由来は諸説ありますが、「舞台に上がるなら脚を折るほどやれ」というのが有力なようです。もともとは舞台俳優の間で使われていた言葉ですが、今では試験や試合などを控えている人を応援する際によく使います。
16. see someone【表:見かける、裏:付き合う】
Are you seeing anyone?(誰かお付き合いしている人はいるの?)
通常「現在進行形be+~ing」と組み合わせることで、恋人とのお付き合い、を意味します。
Do you have a boyfriend?(彼氏はいるの?)はストレートすぎて相手が警戒してしまうかもしれません。またセクシャルマイノリティ(性的少数派)の可能性も考慮して、避ける方が賢明です。
17. drop【表:落とす、裏:やめる】
I dropped my idea because my parents are against it.(両親が反対しているので、あの案はやめました。)
クイズ番組などでお馴染のdrop out(脱退する、脱落する)もしばしば使われます。
18. turn on【表:電源を入れる、裏:魅了する】
My friend turned me on to baseball.(友人の影響で野球にハマった。)
これは、何かがその人に興味を持たせたり、興奮させるという意味ですが、to以下の「興味の対象が何なのか」を具体化しておかないと、性的興奮という意味になってしまいますので、気を付けてください。
19. run【表:走る、裏:運営する】
I’m running a business.(自営業です。)
その他にも、今年はアメリカ大統領選挙の報道で度々耳にすることが予測されるのが、「run=立候補する」です。ぜひ併せて覚えておきましょう。
20 work【表:働く、裏:機能する】
Sunday works for me.(日曜日なら都合がいいです。)
機械などの調子について話す際にもworkを用います。
× This computer is moving.
〇 This computer is working.(このパソコンは動いている。)
まとめ
英単語の多くが多義語です。今回ご紹介したもの以外の意味もまだまだたくさんあります。ぜひ、理解ができない単語や文章に出会ったら、既に知っている単語でも辞書で調べるようにしましょう。そして、辞書で調べる際には、そのページの始めの意味だけでなく、記載されているほかの意味にも目を通し、その文脈に最適な意味を探してみてください。
最後に、皆さんもきっとご存知の英単語(名詞)ですが、意外と知らない動詞としての使い方をご紹介します。ぜひ使ってみてくださいね。
- I water the plants.(水やりをする。)
- I barbecue beef. (牛肉を焼く。)
- I iron my shirt. (シャツにアイロンをかける。)
- I vacuum the living room.(居間に掃除機をかける。)
- I mop the floor.(床のモップがけをする。)
- I ski.(スキーをする。)
- I skate.(スケートをする。)
- I snowboard.(スノーボードをする。)
- I fish.(魚釣りをする。)
- I scuba dive.(スキューバダイビングをする。)
- I’ll email you. (メールを送るね。)
- I’ll text you.(携帯にメールをするね。)