
最近の某ドラマで、主人公が部下に指示を出す時に言うセリフ「GO!」。
私たちは中学生の時に、go は「行く」、come は「来る」、と覚えたはずです。しかし、誰かに呼ばれて「今行く!」と返事をする時に、英語では「I’m coming!」と言います。それはなぜなのか、と疑問に思ったことがある方は少なくないでしょう。
今回は、「come」と「go」のそれぞれの言葉のニュアンスの違いと、明日にでもすぐに会話で使える表現を厳選してご紹介します。
Come の意味 ~基礎編~

Come とは、「向こうからこちらへ移動する動き」を指します。「こちら」とは、話者が心理的に注目している視点を指します。つまり、話者が実際にいる場所だけでなく、聞き手がいる場所を指すこともあります。
Jimmy: OK, dad! I’m coming!(うん、パパ。今行くよ!)
例文では、父は自分がいる場所へ来るように、Jimmy に声をかけています。自分がいる所を強調するために、come を使用しています。
一方で Jimmy は、今自分がいる所よりも、今から移動する予定の父がいる所に視点を置いて、come を使用しています。
この場合、日本語では自分がいる所に視点を置いて、「(そちらへ)行くよ。」と言うのが一般的です。英語に直訳すると「I’m going.」と言ってしまいそうですが、英語では、呼んでいる相手がいる所に視点を置きます。
英語と同じ発想をする県
人に呼ばれて「I’m coming.」と返事をすることは、日本語にはなかなかない発想だと思っていたのですが、なんと福岡県など九州でも「今来る!」という返事をよく耳にします。英語同様、話者の視点を優先するからだそうです。
Come の意味8通り ~応用編~
実際に人や物が近づいて来るという意味を持つ come は、他にも「時が来る」「~な状態になる」などと表すこともできます。
1. come + home 「帰る」
My son late last night.(昨夜、息子は遅く帰宅した。)
2. come + in 「入る」
Please .(どうそお入りください。)
3. come + again 「言う」
?(もう一度言って。)
4. come (+soon) 「到着する」
Here the train.(ほら、電車が来たよ。)
Summer vacation is .(もうすぐ夏休みだ。)
5. come + up / come + out 「出てくる」
Sorry, I can’t come to the party. Something .(ごめん、パーティーは欠席で。用事ができた。)
When will the movie ?(その映画はいつ上映されるの?)
6. come + with / come + off 「ついて来る・来ない」
It soup and salad.(スープとサラダがついてますよ。)
This sticker doesn’t .(シールが剥がれない。)
7. come + dream / come + out 「うまくいく」
My true.(夢が実現した。)
The presentation great.(プレゼンがうまくいった。)
8. come + across / come + into 「偶然見つける」
I this poster at the station.(駅で偶然このポスターを見つけた。)
A good idea my mind.(あっ、良いアイディアが浮かんだ。)
Go の意味 ~基本編~

go とは、「こちらから向こうへと移動する動き」を指します。come 同様、「こちら」とは、話者の視点が置かれているところを指しますので、必ずしもその人がいる場所とは限りません。
例1:I will go get the door.([訪問客が到着して]私がいきます。)
例2:I usually go to work at 7am.(私はたいてい、午前7時に出勤する。)
例文1は、話者が今居る場所から玄関へ移動したので「go」を用います。
例文2は、職場という意味の work に視点が置かれているので、やはり「go」を用います。
go to / go for / go onの使い分け
go to + 場所
go to の後には、場所を置くため、go to shopping とは言いません。正しくは、以下の通りです。
I go to a shopping mall.(ショッピングモールに行く。)
I go shopping.(買い物に行く。)
go for + 活動
go for の後には、気軽に行うことができる活動を用います。気軽な活動とは、この会話の後すぐにでも出かけられるようなことを指します。
Let’s go for a walk.(散歩でもしようか。)
Let’s go for a drink.(ちょっと飲みに行こう。)
go on + 活動
go on の後には、行う前に準備が必要な活動を用います。お弁当や荷造りが必要な、以下の活動などを指します。
Let’s go on a picnic.(ピクニックをしよう。)
Let’s go on a trip.(旅行をしよう。)
for と on がややこしくて、正確に覚えられない、という相談をよく受けます。そんな時は、「go on a=ゴゥ オンナ(女)」という発音で覚えましょう。
と覚えると、忘れないですよ!
Go の意味8通り ~応用編~
go が表す「離れていく動き」は、大きく3つのイメージに分けることができます。
「ある地点から離れる」「どんどん離れて進む」「離れてある場所や状況に達する」動きを表すことができます。
1. go + home「帰る」
My boss late last night.(昨夜、上司は遅く帰宅した。)
2. go + on「続ける」
Please .(話を続けて。)
What’s ?(一体どうしたの?)
3. go + through「経験する」
I the same experience.(私も同じ経験をした。)
4. How + go「どう?」
are things ?(調子はどう?)
did the Carp game ?(カープの試合はどうだった?)
5. 「うまくいく」
Way to go! (その調子!)
Nice going! (やるねぇ!)
There you go!(よくやった!)
6. go + over「復習する」
I have to the lesson tonight.(今夜、授業の復習をしなくちゃ。)
7. to + go「テイクアウトをする」
For here or ?(店内でお召し上がりですか?お持ち帰りですか?)
Two café latte , please.(カフェラテ2つをテイクアウトで。)
8. go + bad / dead「駄目になる」
The eggs .(卵が腐った。)
My phone .(携帯の充電が切れた。)
come と go のもう一つの使い分け 「平常の状態」
風邪をひいて熱が出たり下がったりする時にも、come と go を使います。この場合、以下の4通りの文章が成立します。
【例】
- My fever went up.(平熱 → 高熱)
- My fever came down.(高熱 → 平熱)
- My fever came up.(低温 → 平熱)
- My fever went down.(平熱 → 低温)
つまり、「平常の状態」に近づく時に come、遠ざかる時に go を用います。
他の例も見てみましょう。
- Come clean.(白状しなさいよ。)
- It’s all coming back now.(全部思い出した。)
- He went crazy.(彼は気が狂った。)
- Electricity went off.(停電になった。)
まとめ
日本語(九州は例外)は単純に自分のいる場所からの視点で会話をするのに対して、英語は相手の視点から会話をすることもあるため、come と go の捉え方にギャップがあります。
英語は、目の前にいる「相手 = you」の存在を大切にし、相手を尊重する、素敵な言語です。実際、多くの表現に you が含まれています。
- Thank you.(ありがとう。)
- You’re welcome.(どういたしまして。)
- Nice to meet you.(はじめまして。)
- See you later!(またね!)
そんな素敵な言語を学習しているのだと思うと、少しモチベーションが上がりますね。

