毎年、年末になると話題になる流行語大賞。2015年は「爆買い」と「トリプルスリー」でしたね。実は、英語にも流行語大賞があることをご存知でしたか?

海外の流行語は「Word of the year」や「Buzzword」と呼ばれ、インターネット上や各団体によって発表されます。

流行語を見ると、時代の流れやその国のことを知ることができます。また、映画・ドラマのセリフや新聞・雑誌の見出しに含まれることもありますので、チェックしておくと便利です。

今回は、時代の流れが分かるものや今でも使われているアメリカやイギリスの流行語をピックアップしてみました。

イギリス編

辞書の大御所である「オックスフォード英語辞典」がその年を象徴するものを、11月頃に発表します。

先日、2015年の流行語が発表されましたが、なんとそれが史上初の文字ではなく「嬉し泣きの絵文字」だったのです。絵文字は英語でも「Emoji」と言います。

今までは、日本で使用されているほど絵文字は使われておらず、嬉しい時には「LOL=laugh out loud=声に出して笑う」またはコロンとカッコを用いて横向きに「:)」と表記していました。しかし、今年は絵文字の使用頻度が急激に増え、数ある絵文字の中でも、この嬉し泣きの絵文字はイギリスで20%、アメリカで17%の使用頻度だったことが受賞の理由なのです。

イギリスの過去の流行語大賞

受賞年 流行語 意味と解説
1913 celeb 「有名人」
Celebrityの略。日本語の「セレブ」とはニュアンスが違い、上流社会の優雅な富豪とは限らない。
1943 pissed off 「頭にくる、イライラする」
親しい者同士でのみ使用可能。
1954 non-u 「上流社会的ではない」
Non-upperclassの略。当時のイギリスは、upperclass(上流階級)とnon-u(労働階級)にはっきり二分されていた。
1974 punk 「パンク音楽およびその文化」
語源はチンピラであり、奇抜なファッションからこう呼ばれるようになった。
1979 karaoke 「カラオケ」
1971年に日本で発明され、世界中に広まった。
1985 yuppie 「高学歴で専門職の社会人」
Young Urban Professionalsの略。都会に住み、地位、名声、財産があり、上昇志向が強い人。
1991 hot-desking 「デスクの共有」
この頃から雇用形態が多様化し、勤務時間がバラバラになったため、オフィスの机やパソコンを共有するシステムが増加した。
1997 dot-commer 「インターネット関連企業や従業員」
インターネットのアドレスが.comで終わることから生まれた言葉。
2005 sudoku 「数独」
1~9の数字を並べるパズルの一種。この年、イギリスで大ブームが起きた。日本ではナンプレが主流。
2006 bovvered 「気にしない」
イギリスのコメディ番組によく出てくるセリフ“Am I bovvered?”に由来する。Botheredの発音を変えたもの。国内の移民が増え、色んなスタイルの英語が話されていることを表している。
2011 squeezed middle 「圧迫された中間層」
物価上昇に給与上昇が追いついていないために、困窮していく中間層のことを指す。
2012 omnishambles 「滅茶苦茶な」
”omni=全て”と”shambles=大混乱、修羅場”を合わせた造語。英国を震撼させるニュースの誤報、ロンドン五輪前の不適切な発言、欧州の金融危機など、この年のイギリスは色んなことがあった。
2013 selfie 「自撮り」
携帯電話のカメラの普及により、今でもよく使われている言葉。この年は、アメリカ版オックスフォード英語辞典流行語大賞も同じ言葉が受賞したほど。
2014 vape 「電子タバコ」
若者を中心に流行。タバコと違って体に害がなく、フルーツや色んな味が楽しめる。
2015 😂 「嬉し泣きのemoji」
正式名称は”Face with tears of joy(喜びの涙を流す顔)”。黄色の笑顔マークに2滴の涙があるもの。

アメリカ編

アメリカでは、1990年から、「American Dialect Society (ADS)」という言語の研究をしている団体により、翌年の1月に流行語が発表されています。 「Words of the year (流行語大賞)」だけでなく、他にも「ハッシュタグ賞」「クリエイティブ賞」など、約8部門(変動あり)の賞があります。

アメリカの過去の流行語大賞

受賞年 流行語 意味と解説
1990 bushlips 「誠意のないことば」
当時のブッシュ大統領による、”率直に語らない話し方”から、彼のような政治的弁論法をこう呼ぶようになった。
1991 The mother of all 「ものすごく」
当時のイラク大統領、サダム・フセイン氏が湾岸戦争を「すべての戦争の母」と呼び、全米に衝撃を与えた。やがて最大級を表す言葉として使われるようになった。
1992 Not! 「まさか!」
”No way!(あり得ない)”や”Just kidding!(冗談だよ)”の代わりに使われた。
1993 information superhighway 「インターネットの情報」
”Highway=高速道路”から生まれたことば。
1994 cyber 「コンピューターネットワーク上の」
”Cyber friends(ネット上の友達)”や”Cyber crime(ネット犯罪)”のように使われた。
1998 e- 「電子…」
e-mailやe-businessなど、今でも使われるインターネット用語が他にもたくさん生まれた年。
1999 Y2K 「西暦2000年」
“Y=year(年)”、“K=kilo(1000)”の頭文字。
2001 9-11 「同時多発テロ」
読み方について、様々な議論が交わされたが、”nine one one(ナイン ワン ワン)”や”nine eleven(ナイン イレヴン)”が主流。
2003 metrosexual 「美意識の高い男子」
肌、髪型、服装に気を使い、都市部に住み、知的なストレートの男性。
2006 plutoed 「降格する」
”Pluto=冥王星”を動詞化した言葉。新惑星定義により冥王星が惑星から外されたことに由来している。
2009 tweet 「ツイート」
Twitterでつぶやくこと。
2010 app 「アプリ」
”application”を省略したもの。アプリという言い方は日本語のスタイルなので、注意したい。
2012 hashtag 「#」
日本語でもハッシュタグと読み、ツイッター上で「#○○」と入れて投稿すると、同じ興味を持つ人の意見が閲覧しやすくなる。
2013 because 「理由」
本来ならこの単語の後は文章、または”because of~”のようなフレーズの後に理由が続くが、文法を無視してこの後にすぐ名詞や形容詞を入れて使用する方法が斬新だった。
例:(飲み会を断る理由として)”Because work.”
文法的には”Because I have to work.(仕事があるから)”が正しいが、携帯メールの送信やSNSに書き込む際に短い方が便利で多く使用されている。
2014 #blacklivesmatter 「#黒人の命は重要」
米国で起きた、警察による黒人の射殺事件への抗議のため、多くの人がSNSで拡散し、社会問題となった。SNSの影響力を反映し、ハッシュタグ賞が設けられた年でもある。

まとめ

このように並べてみると、イギリスでは社会の格差や意外にも日本とのつながりを、アメリカでは政治やウェブ社会を反映している傾向にあります。

今回は、一部を抜粋してご紹介しましたが、ぜひ省略した年の流行語も下記のサイトから調べてみてくださいね。ADSによる2015年の流行語大賞は、1月に発表されます。ぜひ、注目してみてくださいね。

また、辞書に掲載される言葉も定期的に変化するのですが、最後に、今年のオックスフォード英語辞典(ウェブ版)に新しく掲載された、面白い表現をいくつかご紹介します。流行に乗って、会話やSNSの書き込みで使ってみてはいかがでしょうか?

awesomesauce 「素晴らしい!すごい!」
beer o’clock / wine o’clock 「ビールやワインを飲むには早すぎる時間」
hangry 「空腹からくるイライラ」
matcha 「抹茶」
mecha (アニメやフィギュアの)「メカ」

【参考文献】
blog.oxforddictionaries.com
www.americandialect.org