センター試験の長文読解や「TOEIC の Part7」が苦手な方は多いのではないでしょうか?

長文読解は、語彙力・文法力・構文力・スピードなど、英語力の全ての要素が必要です。このような英語の総合力をはかる試験をどう対策したら良いのか、とよく相談を受けます。

そこで、ひとつご紹介したいのがスラッシュリーディング【Slash Reading】という方法です。

スラッシュ・リーディングとは、文の構造(=5文型)をつかみながら、文に区切りを入れていき、それぞれ独立した意味をとっていく技法です。意味を区切ることは、英文を読解するために不可欠なテクニックです。なぜなら、英文は日本語と語順が違うため、意味が取れなくなるからです。

日本語
主語、目的語、動詞(順番を入れ替えても成り立つ)
英語
主語、動詞、目的語(順番を入れ替えたら意味が変わる、または成り立たない)

この順番の違いから来る混乱を、スラッシュ・リーディングで克服することが出来ます。こうすることで、英語の語順で英語を理解することができるようになるのです。

瞬時に和訳や英訳をする必要があるプロの通訳士も取り入れている技法です。

今回は例文を上げながらスラッシュリーディングのコツを紹介します。

スラッシュリーディングの【効果】

  • 英語を頭から読んで理解する事が出来るようになる
  • 英語を正確に読むことができるようになる
  • 読む速度が格段と早くなる
  • 長く難しい文も、区切って読むことで簡単に理解できるようになる
  • 頭から理解する事で、リスニング力が上がる
  • 文を組み立てる力が身につく(書く力、話す力も付いてくる)

スラッシュリーディングの【方法】

スラッシュ( / )は意味の区切りを表します。スラッシュは以下を基準にして引きます。

1. 前置詞句(=副詞や形容詞の働きをする場合)の前と後

The basketball player / in this picture / is my brother. 【形容詞の働き】
(この写真写っているバスケットボール選手は、私の兄です。)

My boss started coughing / during the meeting. 【副詞の働き】
(上司は会議中に咳をし始めた。)

前置詞とは?

名詞の前に置き、場所や時を表すことばです。日本語では、これに相当するものに「て」「に」「を」「は」「と」などの助詞があります。前置詞は種類が多く、日本語と意味が必ずしも直訳できるとは限らないので、図解のある教材でイメージをしっかり掴みましょう。

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2. カンマ( , )・セミコロン( ; )・コロン( : )の後

When it comes to cooking, / my grandmother is the best!
(料理と言えば、私の祖母が一番の腕前です!)

カンマ( , )・セミコロン( ; )・コロン( : )のそれぞれの意味とは?

カンマは、日本語の読点(、)にあたります。文節の区切りや、3つ以上のものを列挙する時に用います。

セミコロンは、ピリオド(句点)よりは軽く、カンマ(読点)よりは重い性質をもちます。原因や逆説を述べる時に使います。
「I’m allergic to cats; my eyes are itchy.(猫アレルギーなので目が痒い。」

コロンは、次にもう少し詳しい説明や言い換えが追加される時に用います。
「I like animals: dogs, cats, rabbits and hamsters.(動物が好きです。犬、猫、ウサギ、ハムスターが好きです。」

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3. that節・疑問詞節・whether節の前

I don’t know / when he comes home. 【疑問詞節】
(彼がいつ帰宅するのかを知りません。)

You can’t deny the fact / that she couldn’t pass the test. 【同格のthat】
(彼女が試験に合格できなかった事実は、否定できません。)

It’s up to you / whether we go with this plan or not. 【whether節】
(このプランを実行するかどうかは、あなた次第です。)

疑問詞とは?

時、場所、人、もの、理由、方法などをたずねる時に使うことばです。When(いつ)、Where(どこで)、Who(誰が)、What(何を)、Why(なぜ)、How(どのように)の6つを主に言います。この6語は、頭文字をとって「5W1H」とも言われます。

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4. 関係代名詞・関係副詞の前

There was a musician / who used to live next door. 【関係代名詞】
(以前、隣にミュージシャンが住んでいました。)

The time will come / when people make a trip to space. 【関係副詞】
(宇宙旅行が実現されるは、いずれ来るでしょう。)

関係詞とは?

2つの文章をつなぐために用いられる疑問詞やthatのことを言います。最初の文で大まかのことを伝え、関係詞以降の文で詳しい説明がされているのが特徴です。関係詞はその2つの文をつなぐ糊のような役割をしているのです。

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5. 準動詞(不定詞・分詞・動名詞)の前

The department store will be closed / starting December 30th. 【分詞】
(百貨店は12月30日から閉まります。)

You should keep your bag on your lap / to avoid having it stolen. 【不定詞】
(盗まれないようにするために、鞄は膝の上に置いておくべきです。)

Our job is / training the new staff. 【動名詞】
(私達の仕事は、新入社員の教育をすることです。)

準動詞とは?

動詞にingやtoを付けることで、動詞以外の役割をしてくれるものです。通常、文章には「I like English.」「I study English.」のように動詞が1つです。しかし、準動詞を使用すると「I like studying English.(英語を勉強することが好きです。)」のように動詞「study」が名詞と同じ働きをすることで動詞「like」と同じ文章の中で共存できるのです。

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6. 接続詞(when, because, ifなど)の前

I was absent from work / because I had the flu.
(インフルエンザにかかったため、仕事を休みました。)

I can come to the party / if I finish my work on time.
もし時間通りに仕事が終われば、パーティーに出席できます。)

接続詞とは?

文字通り、「単語と単語」や「文と文」を接続するためのことばです。時、理由、条件などの説明を加える時に使います。

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7. 目的語や補語が長い場合にはそれらの前

Her dream is / to live on a small island in the South Pacific with her husband after their retirement. 【補語が長い】
(彼女の夢は、定年退職後に夫婦で南太平洋の小さな島に住むことです。

目的語とは?

動詞の後ろに置かれる、動作の対象となる名詞・代名詞です。「I like English.」の場合、「English」にあたります。文法書等では「O」と表されます。

補語とは?

主語や目的語の性質を表す名詞・形容詞です。「I am Japanese.」「I am shy.」の場合、「Japanese」や「shy」にあたります。文法書等では「C」と表されます。

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8. 主語が動名詞句や疑問詞句のように長い場合はその後

A large number of popular Japanese restaurants in London / accept credit cards.
ロンドンにある多くの人気のある和食レストランでは、クレジットカードが使用できます。)

主語とは?

動詞の前に置かれる、文の主役やテーマとなる名詞・代名詞です。文中にはなくてはならないものです。「I go shopping.」「My mother cooks dinner.」の場合、「I」や「My mother」にあたります。文法書等では「S」と表されます。

音で確認!

まとめ

スラッシュリーディングをすることで、文法の復習にもなります。もちろん、ここで述べたこれらの法則はあくまでも基準であり、必ずしもここで区切るのがルールだ、と言うものではありません。たくさん練習をする中で、コツを掴んでいきましょう。

『たくさん』とは?
本換算で積み上げて、プロは身長の2倍ほどの英文を読んでいるそうです。例えば、試験などの目標達成日までに20冊読むことを目安とすることから始めてみてはいかがでしょうか?

また、長文対策ではもう一つ大切なことがあります。それは、長文を読むことに慣れておくことです。日ごろから英文を目にするように心がけることで、苦手意識が軽減されるかもしれません。しかし、始めはなかなか長文の教材に手が出にくいものです。まずは、やさいものにたくさん触れるところから始めましょう。

『やさしい』とは?
辞書を使わないで理解できるものです。多くの日本人英語学習者に適しているのは、中学の教科書レベルと言われています。

やさしいものでも効果はあるの?

やさしくても、たくさん英語に触れれば脳が活性化され、効果があります。慣れてきたら、少しずつレベルアップをし、スラッシュリーディングを取り入れてみてください。