ビジネスの場で英語を話している時に、自分では正しく表現しているつもりなのに、相手は目を白黒させていてまったく通じなかった、という経験はありませんか?
例えば
「I like マロン cake. 」
「I take マンツーマン lessons.」
マロンやマンツーマンなんて言うと、和製英語なので外国人にはきょとんとされてしまいます。
正しくは
と言います。これらの間違いは様々な理由が考えられますが、多くの場合、和製英語だと知らずに使っている場合が考えられます。しかも、いつもならそんな外国人を目の前にすると、言葉を飲み込んでしまうのに、「思い込み和製英語」を使用している時に限って、自信を持って押し通したくなります。
これはある意味音読効果を証明しているとも言えますが、今回は日本人英語学習者(ビジネスマン)に良くある間違い、思い込みビジネス和製英語、を一緒に見直してみましょう。
最後に、今回ご紹介するフレーズの音も聞いてくださいね。
自己啓発
1. スキルアップしたい。
➡ I want to
様々な能力を磨くことを日本語では「スキルアップ」と言いますが、英語では何のスキルを伸ばすのかを具体的に述べる必要があります。
ビジネスにおけるスキルといえば
- コミュニケーション能力(communication skills)
- パソコン操作(computer skills)
- 交渉(negotiation skills)
- プレゼンテーション能力(presentation skills)
などが考えられますが、それらを具体的に述べる必要があるのです。
他に、「be better at~」を用いて、「I want to be better at computer skills.」ということもできます。
2. キャリアアップしたい。
➡ I want to .
キャリアを積むことを日本語では「キャリアアップ」と言いますが、英語ではcareer(経歴)に集中するという表現をします。
3. 我が社はイメージアップする必要がある。
➡ Our company needs to .
「image=印象」は名詞です。動詞として使ってしまうのは、日本人英語学習者によくあることかもしれません。動詞はあの有名な曲のタイトルでもある「imagine」、意味は「想像する」なのでイメージアップは和製英語だということが明らかです。
オフィス用品
4. 充電をしたいのでコンセントを探しているのですが。
➡ We are looking for an to charge the battery.
「consent=同意する」という意味で使われることはありますが、電力を供給するための器具という意味はありません。この和製英語は「concentrate=集中する」が語源だという説もあります。
差し込み器具を「plug」、差し込むために壁に取り付けられている器具を「outlet」といいます。また、電源を差し込む・抜くことを「plug in , plug out」と言います。
5. 机の上にノート型パソコンを置いてきた。
➡ I left my on my desk.
「lap」とは、座った姿勢でナプキンを置く部分、つまり腰から膝までの部分を指します。外出先でパソコンを膝の上に置いてタイプしている姿から、そのまま「lap top」と言います。ちなみに、脚の曲げ伸ばしをする部分を指す膝は「knee」と言います。
6. 真っ直ぐな線を書くために定規を使うべきだ。
➡ You should use a to draw a straight line.
「scale」とは、英語では秤や体重計のことを指します。まっすぐな線を書くために用いる定規は「ruler」といいます。Scaleには、「規模、目盛り、縮尺」などという意味もあるため、定規と混同しやすいのかもしれません。
7. あなたのホッチキスを借りても良い?
➡ Can I borrow your ?
アメリカ人発明家ベンジャミン・ホッチキス氏が、この紙を綴じる道具を発明しました。彼の名前は、本場アメリカではあまり知られていませんが、日本ではその発明家の名前がそのまま道具名として使われています。
英語では綴じる器具を「stapler」、芯を「staples」と言います。
人を表す名詞
8. 私はサラリーマン / OLです。
➡ I’m .
「salary=給料」をもらう人、はとても範囲が広い和製英語です。会社勤めの場合、男女問わず、「会社員=office worker」を使います。
また、相手に職種を聞く時も直訳をして「What’s your job?」と聞くのではなく、「What do you do?【何をされている方ですか?】」と聞きましょう。
9. 彼は私の先輩 / 後輩です。
➡ He is .
英語圏では、日本の文化ほど上下関係が厳しくないため、先輩も後輩もみんな「同僚」になるのです。しかし、上下関係をきちんと説明する必要がある場合は、「He works for me.【彼は私の下で働いている。】」や「He is my boss.【上司です。】」という言い方もあります。
10. お会いできて光栄です、トムさん。
➡ Pleasure to meet you, .
Mr.やMs.といった敬称は、基本的に名字、またはフルネームに付け、下の名前には付けません。上記でも述べたように、英語圏では日本ほどの上下関係がないため、年齢を問わず下の名前を呼び捨てで呼ぶことは日常的です。
気分や性格を表す形容詞
11. 彼女は調子が良いです。
➡ She is .
「Be in good condition」は、通常は機械などの調子が良い時に使う表現です。人の調子が良い、体調が良いということを表す時は一般的に「be in good shape」、悪い時には「be in bad shape」と言います。
また、スポーツ選手の場合、試合に勝つために調整された機械のようなイメージがあり、「The pitcher is in good shape.」と言うこともあります。
12. 同僚はハイテンションです。
➡ My coworker is .
「tension=緊張」という意味です。上記の例文の場合、元気いっぱいな人とは真逆で「同僚は極度の緊張状態にある」イメージになってしまいます。陽気なイメージにも様々あるため、「gets excited easily.【興奮しやすい】」「cheerful【明るい】」「crazy【狂っている】」など、様々な訳が考えられます。
13. 彼女は繊細な人です。
➡ She is a person.
「naïve」は元々フランス語で「単純な、無邪気な」を意味する単語であり、「You are naïve to believe that.【そんなことを信じるなんて、あなたは単純ですね。】」のように否定的に用います。「Sense=感覚」が敏感な様は「sensitive」といいます。
14. 今落ち込んでいます。
➡ I’m now.
ひと昔前のブルースで「I’m blue.」と言うこともありましたが、少し古めかしく感じられるため、現在の英会話ではあまり使いません。
他にも「I’m feeling kind of low.」も元気がない時に使える表現です。
社内用語
15. それは状況によります。
➡ .
条件や状況次第で返答が変わるので、Yes / No とはっきり答えられない、という時に便利な表現です。「It depends on him.【彼次第です。】」と後ろに言葉を足して使うこともできます。
16. 上司と話す時、私はメモを取る。
➡ when I talk to my boss.
「memo=同僚に対して連絡事項を書いたもの」なのに対して、「note=大事なことを忘れないように書き留めておくもの」なのです。
17. 優秀なIT企業ベストテンです。
➡ They are the IT companies.
「ベストテン・ワーストテン」は和製英語です。英語では、使用する動詞によっては数字だけでも表すこともできます。
「They are my ten favorite movies.【私の好きな映画上位10作品です。】」また、下位の場合は「They are the ten worst…」と表現します。
18. がんばって!
➡
「Challenge」は単体では使わず、主に「Challenge+人」の形で使われ、「人に挑む・挑戦する」と言う場合に使われます。また、「Fight!」は取っ組み合いの喧嘩や戦争のようなイメージで使われるため、女の子が可愛らしく応援する「ファイト」とはまったく似つかないものです。
19. 我々の顧客はクレームを言いたいのです。
➡ Our wants to .
自宅に招いた客やホテルなどの客を guest と言い、店や企業にとっての顧客を customer と言います。また、claim は「請求・主張」という意味であり、「苦情・反対意見」という意味はありません。
苦情はほかに「I have a few words to say.【言いたいことがあるのですが】」と丁寧に言う方法もあります。
20. それはケースもセットです。
➡ the case.
「set=置く・整える」という意味であり、「他の商品も付いてくる」、という意味も、食事に関連した用法もありません。また、ファーストフード店などではドリンクやサイドメニューが付いてくるものを「combo」と表現します。
21. フロントにモーニングコールを頼んだ。
➡ I asked the for a .
日本語で言う「フロント」はフロントデスクを省略したものであり、英語では「front=前面」という意味です。また、午前中にかける電話ではなく、「朝の起床を知らせてもらうための電話」なので「wake-up call」と言います。
22. サービスですよ。
➡ It’s .
英語のserviceに「無料で」という意味はありません。あくまでも「接客・もてなし方」という意味であり、業務の一つでしかありません。プラスアルファの「おもてなし」は日本ならではの心遣いです。
また、「a free ticket」のように商品の前にfreeをつけて「タダで手に入れたチケット」のように使うこともできます。
まとめ
今回は、英語だと思い込んでしまっているよくある間違いをまとめてみました。日頃から生徒様が多用してしまっている和製英語をコツコツと書き止めてきたので、皆さんにも思い当たる節があるのではないでしょうか?
最後にビジネスの場で役立つ英語マナーをご紹介します。もちろんビジネスの場だけでなく、日常英会話にも取り入れてほしいことです。以下の3つ活用して、少し差をつけてみましょう!
1. 語順に注意
I and my boss are getting along well.
➡ are getting along well.
主語が自分と誰かの複数の場合、自分を後に言います。英語は他人を尊重する、思いやりにあふれた素敵な言語ですね。
2. 主語に注意
He is my boss, Mr. Smith
➡ is my boss, Mr. Smith.
「He=彼は」は3人称の代名詞であり、言い方を変えれば「第3者=話し手・聞き手以外の人」なのです。第3者扱いでは会話に入りづらくなってしまうため、その人が目の前にいる状態なのであれば、その人の存在を尊重し「This=こちらの方は」と紹介するように心がけてみましょう。「This」は物以外にも使える、というのも新しい情報ですね。
3. タイミングに注意
Could you call me back? .
日本語の世界では、過程では「よろしく」「お疲れさま」などの労いの言葉を用い、結果が出てから感謝の言葉を用いますが、英語の世界では物事を頼んだ時から感謝の言葉を用います。
最近ではお手洗いで「いつもきれいに使っていただき、ありがとうございます。」という貼り紙を見かけるようになってきました。このように「ありがとう」を多用してみてください。
これまでに出てきたフレーズを音で確認してみましょう!