あなたはこの問いに、どう答えるでしょうか?
実践英会話力と言えば、「日常英会話」と「ビジネス英会話」という括りでしょう。しかし、「日常英会話レベル」の中にも、
- 単語の羅列をするのが精いっぱいな方
- 正確さには欠けるがなんとか文章で話せる方
- 流暢に話せる方
- ネイティブスピーカーと同等に渡り合える方
など様々です。更に「流暢」という言葉の解釈も人それぞれ。
言語は形がないため、一言で自身の能力を他人に伝えるのが難しいのです。
しかし、これを可能にしてくれる一つの方法が「TOEIC」という試験です。
TOEICを受験していると、ご自身の英語力を数値化し、スキルをアピールすることができます。
今回は、今さら人には聞けない TOEIC の基礎知識と学習アドバイスについてお話します。
そもそも TOEIC って何?
TOEICは現在、日本で最も人気な英語コミュニケーション能力を測るための資格試験です。日本国内だけでなく、世界中で実施されています。
TOEICの略は、「Test of English for International Communication」の頭文字をとったものです。
アメリカの教育機関 ETS(Educational Testing Service)が管轄しているため、アメリカ生まれの試験ということになります。ETS は米国ニュージャージー州プリンストンに本部があり、1947年に設立されて以来、世界最大の非営利テスト開発機関として知られています。
ETS は様々な資格試験や学校で導入されているテストを開発しているのですが、TOEIC においては、2年の研究開発を経て1979年に TOEIC 試験が実現しました。その後も時代の流れと共に何度か改訂がされているため、いつの時代も英語学習者にとって実践英語が学べる試験なのです。
現在TOEIC試験には、3種類の試験があります。
長年にわたって広まった最も有名なのが「TOEIC L&R (Listening and Reading)」です。一般的に TOEIC と言うのは、この試験ことを意味しています。
また、ここ約10年の間には、英語初級者向けの「TOEIC bridge」や上級者向けの「TOEIC Speaking & Writing」というものもできました。(※この2つの試験詳細については別の機会にお話します。)
TOEIC L&R はどんな試験形式なの?
TOEIC L&R は、リスニング力、語彙力、文法力、長文読解力などの総合的な英語コミュニケーション能力を測定することを目的にした試験です。
解答は3択または4択より正解を選択し、マークシートに記入する方式です。問題数は、4種類のリスニング(100問・45分)と3種類のリーディング(100問・75分)の計200問で構成されています。
試験時間は2時間あるため、集中力の持続と時間配分の戦略が問われる試験です。結果は、合否判定ではなく、990点満点の点数で表示されます。
英語コミュニケーション能力を測るための国際的な試験ということもあり、指示文も問題文もすべて英語の音声が流れ、問題用紙は英語のみで記述されています。つまり、事前に試験形式を把握していないと、より一層圧倒されてしまいます。
どんな人が TOEIC L&R を受験するの?
1. 英語を学習中の全ての人
前述のように、試験結果は合否ではなく点数で表されるため、現時点の英語力を明確に測ることができます。
例えばダイエットをする時に、定期的に体重計に乗っては日々の体重の増減を記録する人は多いでしょう。英語力も同じで、定期的にTOEICを受験して英語力を数値化しておくと現状把握ができます。英語学習で挫折する理由の一つが、「英語力が本当に身についているのか実感できないから」と言う人は少なくありません。
だからこそ、ご自身の英語力を数値化して今の力を知ることは大切なのです。また、「次は+50点」など、明確な目標設定もできるので、英語を学習中の全ての人が利用するべき試験なのです。
2. 昇進を目指している社会人
多くの企業では、昇進・昇格・海外赴任者選抜などの指針や条件として TOEIC L&R を用いています。厳しいところでは、「TOEIC L&R●●点取得必至」と義務付けられていることもあります。また、各企業が設ける点数をクリアすれば臨時ボーナスがもらえる、または毎月手当が出る、など知られざる社内ルールなどがあることも!?
3. 就職活動を控えた大学生
近年は企業のグローバル化が進み、多くの企業では英語の必要性に関わらず、採用時から英語力が求められるようになりました。面接の前に提出するエントリーシートには、「資格」の欄とは別に「TOEIC L&R____点」という欄もあるほどです。部署にもよりますが、一般的には600点取得を目指して、学生時代はコツコツと英語力を身につけることがお薦めです。学校によっては受験料の割引や免除、さらに単位認定などもあります。
4. 英語関連の学部進学を目指している高校生
推薦入試を受験する条件として、TOEIC を設けている大学も増えてきました。TOEIC の点数を提出することで入試のスタイルも大学によって様々です。志望大学のホームページや TOEIC 公式ホームページなどで詳細を検索してみて下さい。
もともとこの入試を目指していたわけではなく、偶然この話が舞い込んできたのです。高校時代は自己啓発と将来のために、年に数回 TOEIC 受験をして定期的に点数を取得していたのですが、思わぬ形で予定よりも早く役立ったのです。
私がこの推薦入試の情報を手に入れたのは、応募締め切りの1か月前でした。もし事前に TOEIC 受験をしていなければ、確実に今とは違う人生を歩んでいました。資格試験は受ける余裕のある時に受けておくといずれ道が開ける、という事を肌で感じました。
TOEIC L&R の試験は、いつ・どこで実施されているの?
公開テストは年10回(1・3・4・5・6・7・9・10・11・12月)全国80都市で実施されています(地域により異なる)。また、企業や学校などの教育機関が委託され実施するものを「IPテスト」と言います。団体によって実施回数は異なりますが、所属している団体によっては、公開テストと併せると、ほぼ毎月受験することができる可能性もあります。
長時間の試験であるため、試験慣れしているかどうかで点数の変動があります。とても大切な試験のために TOEIC を利用される際は、連続で受験することをお薦めします。1回目は試験に慣れ、2回目でペースをつかみ始め、3回目で実力発揮ができます。
TOEIC L&R の申し込みはどうすればいいの?
申込方法は、インターネット申込とコンビニ端末申込の2通りがあります。インターネット申込の場合、結果通知が郵送される前にインターネットで結果を先取りして確認することができるメリットがあります。
また、受験した翌年に再度受験するときに充当できる「リピート割引」サービスが受けられるのも、インターネット申込のもうひとつのメリットです。
申し込み締め切りは受験日の約40日前です。また、結果が発送されるのも受験日から約1か月後です。申込から結果の受け取りまで、2カ月以上かかりますので、試験結果を採用活動などに活用する際は、気を付けてください。
TOEIC の勉強方法・学習アドバイス3つ
1. ご自身のレベルに合った教材を選ぶ
TOEIC の教材はとてもたくさんの種類があり、どれを選んで良いのか迷うという相談をよく受けます。例えば600点取得を目標に掲げている人は「600点突破!」などと書かれた本を選びがちです。
教材選びで大切なのは、達成したい目標に重点を置くのではなく、現在の能力に合った物を選ぶことです。
本を開いて既に半分ぐらい理解できるものが適切なレベルの教材です。つい欲張って、分からないものが多い教材の方がお得なような気がしてしまうのですが、適したレベルではない教材は始めの数ページで挫折してしまいます。
実際、問題集や参考書を最後まで完走できずに本棚で眠らせる羽目になった経験をしたことがある人も多いでしょう。ぜひ、ご自身のレベルに合った教材で学習しましょう。
- 中学の基本英文法からやり直せる
- 本番に近い問題演習
- 通勤通学の時間を学習に当てられる
- すべての機能が7日間無料
- 1日あたり66円(税抜き)から
- 満足いただけない時は返金対応あり
7日間無料ですので、ご自身に合うか合わないかを試してみるといいでしょう。
2. 試験形式に慣れる
TOEIC L&R の試験は、問題の解説や例題の説明文がすべて英語の音声で流れます。試験形式に慣れていると、時間配分の戦略を立てることができ、より効率的に問題に取り組めます。
また、説明文の音声が流れている間は先読みをすることで余裕を持って回答ができる環境づくりができます。2時間の試験とは言え、200問と格闘するには1秒たりとも無駄にはできません。各パートの流れは勿論、問題を解く上で注目すべき点やご自身の得意・不得意な個所などを事前に把握しておきましょう。
3. 完璧主義は捨てる
700点台までは、得意なパートに絞り込んだ学習方法も戦略の一つです。仮に2問のうち1問が不正解または解くことを諦めたとしても、500点以上を取得することができます。3問中1問を捨てたとしても、600点台後半が目指せます。
すべての問題を完璧に解くよりも、2時間の試験時間をどう集中力を切らさずに完走するのかが重要です。各パートで「こういう問題だけは確実に解く!」という得意分野を知り、苦手分野を捨てることで時間配分ができるようになります。確実に得点アップをするには、見切りの速さも必要なのです。
まとめ
TOEIC が日本でに上陸して今年で38年です。1979年12月に第一回テストが主要5都市で実施され、当時の受験者はわずか3000人余りでした。
現在、日本では個人による受験に加え、約3,400の企業・団体・学校が採用し、年間約240万人が受験しています(2014年度)。また、世界では約150カ国で実施されており、年間約700万人の人々が受験する、英語の試験のなかでもとりわけ人気の高い試験です。
TOEIC L&R を受験するにあたって必要となるスキルは、中学・高校で習うレベルの語彙力と文法力(構文力)です。学生時代の英語を見直すだけでも、十分点数に反映されます。また、海外旅行やビジネスで実際に使える表現がたくさん出てきます。今すぐに英語が必要ではない方でも、勉強をしていて損はないです。
今年が始まってまだ間もない今だからこそ、具体的な英語学習の目標にTOEIC受験を掲げて、今年はより一層中身の濃い使える英語を身につける1年にしてみませんか?
参考文献:TOEIC Programの理念