待ちに待ったハロウィンまで一週間をきりました。ここ数年、日本ではバレンタイン以上の盛り上がりを見せていますが、実は英語圏の国でもハロウィンに変化があります。
徐々に世界に広がりつつあるのが「Teal Pumpkin Project」というものです。
Teal Pumpkin Projectとは?
「Teal Pumpkin Project」はアレルギー持ちの子供たちも「Trick or Treating」に参加し、ハロウィンを楽しめるように配慮されたプロジェクトです。
2014年に Food Allergy Community of East Tennessee (FACET) によって設立されました。
「Trick or treating」とは31日の夜に子どもたちが仮装をして近所の家を訪れます。この日はドアベルが鳴り続け、可愛い仮装をした子供たちと交流することを言います。
キャンディーの代わりに玩具や文房具などの別のものをあげるため、すべての子供たちが Trick or Treating を楽しめるようになったのです。
より安全でみんながハッピーになれるハロウィンを願って立ち上げられた、今世界で注目されているプロジェクトです。
そもそもハロウィンって何?
ハロウィンは10月31日に行われる、諸聖人の祝日の前夜祭です。秋の収穫を祝い、悪霊を追い払う目的で、古代ケルト人が始めたお祭りです。
アイルランド・スコットランドに起源を持ち、現代では主にアメリカで盛大に祝われています。
この時期になると、お店のディスプレイや家の玄関はオレンジと黒のデコレーションで鮮やかです。カボチャをくり抜いてカボチャのお化け「Jack O’ Lantern」も飾ります。
参考:ハロウィンの語源
今までのハロウィンの問題
ハロウィンと言えば、子供たちが仮装をして近所の家を訪れ、キャンディーをもらう「Trick or Treating」が最も楽しみなイベントです。
しかし、近年では、子供たちの食べ物アレルギーが深刻化しており、特にハロウィンで配られるキャンディーには添加物や着色料が多く含まれています。
私達日本人にはあまり知られていないのですが、アレルギーを持つ子供たちは、この楽しい Trick or Treating に参加できず、ハロウィンを諦め、悲しい想いをしていました。
実際、アメリカなどで売られているお菓子は、どれも着色料がたくさん入っているのが一目瞭然です。
私の母も、一家でアメリカに渡ってからは、お菓子は基本的に家で作るようになりました。たまに友達にもらったキャンディーを食べて家に帰ると、口の周りや舌の色ですぐにばれてしまったほどです。
オレンジ色のカボチャはもう古い?イメージカラーはオレンジから青へ!
「Teal Pumpkin Project」の「Teal」とは、英語で「濃い青緑色」という意味です。この色は、約20年前から食べ物アレルギーについて知ってもらう活動をするときに使われている色です。北米のカボチャはもともと黄色やオレンジ色のものが多いのですが、Teal Pumpkin Project をサポートしている人々は、青いカボチャのお化けを飾ります。
Teal には、他にマガモという意味もあります。マガモの頭の色が語源と言われています。
Teal Pumpkin Project で配られているもの
- Glow sticks, bracelets, or necklaces(暗闇で光るスティック、ブレスレット、ネックレス)
- Bubbles(シャボン玉)
- Halloween erasers or pencil toppers(ハロウィンデザインの消しゴム、鉛筆の先につける飾り)
- Mini Slinkies(バネの玩具)
- Whistles, kazoos, or noisemakers(笛、ラッパ、ガラガラ)
- Bouncy balls(スーパーボール)
- Finger puppets or novelty toys(指人形、おまけの玩具)
- Coins(コイン)
- Spider rings(蜘蛛のデザインの指輪)
- Vampire fangs(ヴァンパイアの歯)
- Mini notepads(メモ帳)
- Playing cards(トランプ)
- Bookmarks(しおり)
- Stickers(シール)
- Stencils(ステンシル)
Teal Pumpkin Project の参加の仕方
- 食べ物以外のものを準備する
- カボチャをくり抜いてJack O’ Lanternを作り、青色に塗る
- 「Teal Pumpkin Project」のホームページから掲示するポスターをダウンロードする
- 玄関にポスターと青いカボチャのお化けを飾る
- Teal Pumpkin Project Mapに自宅を掲載する
ポスターの表記
- Non-food Treats Available「食べ物以外のご褒美あります」
- We Have Candy and Non-food Treats「キャンディーと食べ物以外のご褒美を用意しています」
- Toys and Treasures Found Here「玩具と宝物ここにあり」
- You Pick: Candy or Prize「あなたが選んで:キャンディーか玩具」
- Plain Teal Pumpkin「ティールパンプキンのみ」
まとめ
アメリカでは全50州、世界では14の国が行っている Teal Pumpkin Project。食べ物アレルギーの子供たちだけでなく、糖尿病やセリアック病の子供を持つ親御さんからも感謝されているプロジェクトです。
2014年は1,500世帯の登録に始まり、翌年2015年には全米100,000世帯が登録をし、今年は更に広がりを見せると予想されます。子供の食べ物アレルギーを理由に、伝統的な慣習を諦めるのではなく、新しい形で楽しみながら受け継いでいくことを思いついたのは、Nancy Basaloneという一人の母親でした。
2012年、彼女は一人で、アレルギーに苦しむ息子の為にカボチャを青色に塗り、シールや暗闇で光るスティックを配り始めました。その後、その活動を広めるためにFACETにかけ合い、2年後には多くの人を動かすことに成功したのです。
一人の母親の愛が作り出した Teal Pumpkin Project が、日本で流行する日はそう遠くないかもしれません。