あなたはブログや本を読んだとき、「言いたいことは何となくわかるけど・・・読みにくいなぁ」と感じたことはありませんか?
もしかしたら、あなたが書いた文章も、自分で読み返してみて読みにくいと感じることがあるかも知れません。
では、読みやすい文章を書くにはどうすればいいのでしょうか?
「20歳の自分に受けさせたい文章講義(古賀史健著)」によると、
文章はリズムで決まる
と、仰っています。
文章のリズムって何だろう・・・。
このリズムの正体を理解して書くことで、読みやすい文章が書けるようになるかもしれません。
それでは、文章のリズムについて、一緒に見てみましょう。
「文体」とはリズムである
文章は、作者ごとに特徴がありますよね。
「淡々とした文章」とか、「やけに丁寧な文章」とか・・・。
その特徴を決めているのが「文体」です。
文体とは、辞書で調べると「文章のスタイル」という意味。
そして著者曰く
「文体」とはリズムである
とのこと。
文体は主に以下の2つで決まると言われています。
- 文章の語尾に注目して「です・ます調」と「だ・である調」を使い分けること
- 「私」「ぼく」「俺」「筆者」といった主語を使い分けること
しかしこれらは、文章のリズムを決める本質的な要素ではないと著者は言います。
確かに、これだけでは文章のオリジナリティは感じられないですよね。
本書の著者は、話の流れ、つまり「文章の論理展開」が文章のリズムを決めていると主張。
では、次に「文章のリズム」と「論理展開」について見てみましょう。
文章のリズムは、「論理展開」で決まる
あなたも、今まで「論理展開」という言葉を何度か聞いたことがありますよね。
「論理展開」とは、文と文のつなげ方や、論の進め方のことを言います。
では、論の進め方と「文章のリズム」にどんな関係があるのでしょうか?
例えば、以下の様な論の進め方がめちゃくちゃな文章があるとします。
だからごはんをおかわりしました。
そしてからあげがとてもおいしかったです。
見ての通り、話の筋が通っていない、支離滅裂な文章になります。
この支離滅裂な文が、読者に「なんか読みにくいなぁ」という印象をあたえてしまう、いわゆる「リズムの悪い文章」になるというわけです。
論理展開が難しいのは、「言葉」しか使えないから
「論理展開」という言葉を聞いて、「うわ・・・難しい話になりそうだ・・・」と思ったかもしれません。論理展開に苦手意識をもっているのはあなただけではありません。
論理展開とはそもそも難しいもの。
なぜなら、「言葉」だけですべてを伝えなければならないからです。
想像してみてください。
あなたは人と話をするとき、論理展開を考えながら話をしていますか?
私はそんなこと考えながら話をしません。でも会話はちゃんと成り立っています。
なぜでしょう?
人は話しをするとき、言葉以外に声や表情、身振り手振りといった、いわゆる「非言語コミュニケーション」を無意識のうちに使っています。
これが、意思疎通に言葉以上に大きな影響を与えており、会話を成り立たせているのです。
「英語ができなくてもボディラングエッジでなんとかなるさ」というのはあながち嘘ではないんですね。
一方、文章での表現方法はというと、表情、声、身振り手振り全部使えません。
使えるのは言葉だけ。
会話をするとき声や表情で伝えていた情報も言葉で補わいと、うまく伝わらないのです。
だから会話以上に言葉の選択や順番に気を使わないと、論理展開がうまくいかなくなってしまいます。
リズムの良い文章は、「接続詞」でつくれる
ではそうすれば、論理展開のうまくいった、「リズムの良い文章」が書けるのでしょうか?
調べてみると、どうやら「接続詞」を利用することで、リズムの良い文章が書けるとのこと。
接続詞とは、「だから」「でも」「つまり」のような、文と文をつなぐ言葉のことです。
例文を用いて見てみましょう。
A大学に合格した。
この二つの文を繋げようと思ったら、どの接続詞を使いますか?
正解は「だから」ですね。
だからA大学に合格した。
接続詞でうまくつなげることができます。
では、つぎの文はどうでしょう。
A大学の受験者は、例年より多くなりそうだ。
この二つの文をつなげようと思ったら、どの接続詞を使いますか?
「だから」「でも」「つまり」「そして」・・・
どの接続詞も当てはまりません。
接続詞で繋がらないということは、2つの文は全く別の話をしているということ。
つまり、論理展開がうまくいっていないと言えます。
例文はとっても簡単な文でしたが、もっと複雑な文章のときが要注意。それぞれの文に間違いがないから、論理展開がうまくできていないことに気が付きにくいのです。
「じゃあ、文章を書くときはどんどん接続詞を使えばいいんだ!」
と単純に考えてしまったのですが、これは大きな間違い。
すべての文に接続詞を使ってしまうと、接続詞が多すぎて逆にリズムの悪い文章になってしまうのです。
あくまでも、「接続詞が入るかチェックしよう!」という意味だということを覚えておきましょう。
読んでもらえるかは第一印象で決まる!「視覚的リズム」の重要性
ここまで、文のリズムは文体によってつくられており、論理展開によって文章の印象が大きく変わることが分かりました。
「結局文章は点の位置とかよりも、文の内容が大切なのね。」と思ったあなた。
重要なことをお忘れではないですか?
想像してみてください。
あなたが本屋さんで本を買うとき、何時間もかけて音読し、筋の通った文章かどうか吟味して決めますか?
それとも、表紙に惹かれて手に取り、目次を簡単にスキャンした後、本をパラパラッとめくって「あ、良さそう。」と思った本を買っていますか?
断然後者が多いですよね(私もそうです)。
つまり、一生懸命書いた文章を読んでもらえるかどうかは、第一印象で決まるのです!
では、第一印象を良くするためにはどうすればいいのでしょうか?
ポイントは「隙を見せて、とっつきやすい印象を与える」こと。そしてとっつきやすいかどうかは、「視覚的リズム」で決まります。
では、具体的に印象が良くなる視聴覚的リズムを見てみましょう。
- 句読点の打ち方・・・句読点は一行にひとつ打つ。
- 改行のタイミング・・・5行をメドに改行するのがベスト。
- 漢字とひらがなのバランス・・・漢字の多用はごちゃごちゃ感を与え、ひらがなが続くと読みづらい。漢字が引き立つようにひらがなを配置する。
私は1と2に関しては今までも意識していましたが、3は考えたことがありませんでした。
「漢字で書けるものはとりあえず漢字で書いとこう(頭悪いと思われたくないし・・・)」とばかり考えていました。
漢字は文字そのものが意味を表す「表意文字」であり、見た瞬間に何が書かれているか把握できます。
そんな漢字をキーワードとし、あえて周囲にひらがなを配置してあげることで、読みやすい文章になるのです。
音読で客観的に文章をみる!「聴覚的リズム」で文章のリズムをチェック
さて、あなたは文を書き終えたら何をしますか?
間違いはないか、誤字脱字はないか、黙読で確認していませんか?自分が書いた文章を読み直すときは、黙読よりも音読の方が効果的だといいます。
例えば、他人が書いた文を音読するとき、読み間違えたり言いよどんだりしてしまうことがよくありますよね。それを避けるために、音読するときは一字一句注意深く読むようになるのだそうです。
音読すると、文の内容は耳に入ってきますから、音読のリズムを、「聴覚的リズム」といいます。
「なるほど、音読の方が注意深く読める。でも自分で書いたのに、そこまでする必要あるの?」という疑問が浮かびます。
もちろん、ただ淡々と読んでいてもだめ。
以下の点に注目して音読すると、自分の文章を客観的に見ることができ、リズムの良い文章に仕上がります。
- 読点のないダラダラとした文章になっていないか
- 頭の中の「こう読むに違いない」というリズムと、実際耳から聞こえるリズムにズレが生じていないか
- 「とても」「非常に」「かなり」といった副詞を何度もつかっていないか
- 「~である」で終わった文の次に、また「~である」で終わった文を続けていないか
- 「そして」で始まった文の次に、また「そして」で文を初めていないか
以上のことは黙読では意外と気づきにくい。耳で聞くことで、違和感を感じやすくなる、というわけです。
論理展開が文章のリズムを決める!「視覚的リズム」と「聴覚的リズム」で読まれる文章に
文章とリズムについておさらいしてみましょう。
- 文体はリズムである
- 文章のリズムは論理展開で決まる!文と文の間に「接続詞」が入るかチェックする
- 読んでもらえるかは第一印象で決まる!視覚的リズムを工夫して、とっつきやすさを演出する
- 聴覚的リズムで読みにくさ解消!自分の文章を音読して、文章のリズムを確認する
読まれる文章は、見た目も中身も磨かなければならいんですね。
「なんだか文章って、人間みたいだな~」と感じたのは私だけでしょうか。
最後に印象に残った文をご紹介。
われわれは‟感情”を伝えたいからこそ、論理を使うのだ。
“主張”を語るからこそ、客観を保つのだ。
文章を書く目的は、自分の主張を「伝えること」。
「伝わる文章」を書くには、常に読者を意識し、自分の文章を客観的にみることが大切なんですね。
文章を書くときは、「文章のリズム」を上手に活用して、読まれる文章を目指しましょう!